土作りと土壌診断の実施

土作りと土壌診断の実施

最近は水耕栽培も増え始めていますが、ほとんどの農産物が土壌を利用して栽培をしています。

長期間同じほ場を利用していますと、土の栄養バランスが崩れてくる場合があります。

そこで、土壌診断を行うことにより、自分のほ場状態を知ることができます。

土壌診断は、農協等で行っていますので、年に1回は土を提出して診断を受けることをお勧めします(人が年に1回健康診断を行うことと同じです)。

なお、土壌診断の結果はわかりにくいという声があります。

土壌診断結果が出たら、担い手サポートセンター(TAC)等に解説を受けて、その後の土作りに活かしてください。

今回は土壌診断の基本的な話と、土作りについて説明します。

1 土壌診断について

土壌診断を行うと、表1のような結果表がきます。

表1 土壌診断結果(例.水稲)
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基準値は、作目ごとに異なります。

それぞれの項目の説明は、次のとおりです。

(PH)

土壌の酸性度を示します。PH7が中性で、7よりも小さければ酸性を示し、大きければアルカリ性を表します。各作目によって最適なPHが異なります。

(EC)

ECは、土壌中にある窒素量の目安です。

窒素分が少ない状態では、測定値が0.0に近くなります。

通常、元肥施用時に、EC値が0.5を越える場合は施肥量を半減させ、1.2を越える場合は、かなりの減肥を必要とする場合があります。

(石灰・苦土・加里)

土壌中の石灰(CaO)・苦土(MgO)・加里(K2O)を示します。

例えば、石灰の値が340の時は10a当たりのほ場に340kgの石灰があることを示します。

(リン酸)

リン酸は作物の根の生育に影響があります。

過剰害はあまりありませんが、不足すると生理障害が発生する場合があります。

(CEC)

肥料分を受け入れられる土の力を示し、値が大きいほど多くの肥料分を吸収できる(肥えた土、保肥力のある土)ことを示します。

2 土作りについて

(1)土壌の物理性の改善

土壌の物理性とは、その土の通気性や通水性、保肥力等が良いかどうかです。

物理性を改善するためには、よく耕耘をして土の粒を細かくすることと、土壌改良資材やたい肥の施用があげられます。

たい肥は、有機質資材と捉える場合と、有機質肥料と考えて施用する場合があります。

前者は土壌改良剤ですから、たい肥盤等で家畜糞やワラ等たい肥となる資材を集め、雨風に十分あてて何回か切り返しを行い、余分な栄養素(窒素や塩基類等)を流した完熟したものを施用します。また、農協等で購入することもできます。

後者は肥料ですから、たい肥となる資材にシート等をかけてなるべく雨風をあてず、資材自体が持つ栄養素を肥料として使います。

(2)土壌の化学性の改善

土壌の化学性は、肥料施用によって変わります。

初めて作付するほ場なら、土壌診断結果を見て、栽培しようとしている作目に適した土壌かどうかを調べてから施肥することをお勧めします。

今まで作付していたほ場なら前作によっては肥料が残っている場合もありますから、やはり土壌診断結果を見てから施肥することをお勧めします。

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【注釈】

掲載している農薬の使い方(農薬使用基準)は、農林水産省が公開している記事掲載時点での農薬登録情報等と基に作成しました。
農薬使用の際は、下記に注意してください。

  • 登録内容に変更がないか、必ず最新情報を確認する。
  • 使用の際は、ラベルの注意事項を必ず確認し、適切に使用する。
  • 農薬使用基準は、農薬取締法に基づき、作物ごとに該当する農薬の使用方法、使用時期、回数などについて使用者が守るべき基準です。
    また、同一成分を含有する農薬を併用する場合は、成分の総使用回数に従う。