田植前後の管理について

田植前後の管理について

本年も田植の時期になりました。昨年は、水不足で、①田植え時期が遅れ、老化苗を植えざるを得なかった、②田植え後の水管理ができずに雑草が発生したほか、③箱施薬で上手にヒメトビウンカの防除ができずに縞葉枯病が発生してしまった水田がありました。次の項目にある基本技術を励行し、実り多き秋を迎えるようにしましょう。

1 育苗期の管理

この時期は気象変動が激しいため、苗立枯病や生理障害によるムレ苗(センコウ苗)が発生することがあります。苗代のトンネルや育苗用ビニールハウス内の温度管理(高温・低温)に注意してください。
ムレ苗の症状が軽微な場合は、田植をすれば回復することがあるので、田植が可能な場合はすみやかに行ってください。
田植え時期が遅れ、苗の色が全体的に黄色っぽくなった場合は、肥切れの可能性があります。その際は、床を落水し、苗箱1枚あたり窒素成分で0.5g(硫安の場合は約2.5g)を0.5リットルの水に溶かして灌水します。

(1)苗立枯病

苗立枯病の防除は予防が重要です。播種前に種子消毒や育苗箱消毒を確実に実施しておきましょう。
播種後に苗立枯病が発生した場合は、下記を参考に薬剤防除を行います。

苗立枯病

(2)ムレ苗(センコウ苗)

予防として下記①~③のいずれかの方法があります。
①播種前にフジワン粒剤(苗箱1箱あたり15g)を床土へ混和する。
②は種時又は発芽後にタチガレエース液剤(500~1,000倍)を土壌灌注(苗箱1箱あたり500ml)します。
※タチガレエース液剤の使用回数は栽培期間内1回。
③緑化始期にフジワン粒剤(苗箱1箱あたり25~50g)を散布します。
また、ムレ苗が発生初期であれば、すぐに田植をすると回復します。

2 田植前後の管理

田植え後、苗がすぐに活着して生育できるよう、徒長や老化しないよう育苗しましょう。また、田植え時の低温は活着を遅らせるほか、枯死する場合もあるので注意してください。

(1)田植えのポイント

田植前の耕耘は、深さ15cmを目標に行います。根がより深く・広く張り、夏期の高温対策にも有効です。
植付株数は坪当たり60~50株(30cm×18~22cm)が収量・品質面で安定しています。
近年、さらに株数を減らした疎植栽培も見受けられますが、天候不順の際は影響を受けやすくなるので注意が必要です。
1株に植え付ける苗数は2~3本、植え付ける深さは2~3cmが理想です。

(2)粒剤箱施用による病害虫防除

表2を参考に、病害虫の予防をしましょう。

【注意報 イネ縞葉枯病】
平成26年4月1日、埼玉県病害虫防除所は、イネ縞葉枯病の注意報を発表しました。ヒメトビウンカの越冬世代幼虫のイネ縞葉枯ウイルス保毒虫率が高まっており、イネ縞葉枯病の多発が懸念されます。箱施薬剤によるヒメトビウンカの防除を徹底しましょう!
イネ縞葉枯病はヒメトビウンカがウイルスを媒介して拡大する病気で、抵抗性を持たない品種(コシヒカリ、キヌヒカリなど)は感染すると、20日程たってから、ゆうれい症状、枯死、穂の出すくみなどをおこします。そのため、症状が出てからでは防除できないので、田植前に殺虫剤の箱施用を行って、ヒメトビウンカを防除しましょう。

※彩のかがやき、彩のきずな、彩のみのりは、抵抗性 を有しているため発病しませんが、ヒメトビウンカ がうつす「イネ黒すじ萎縮病」には抵抗性がありま せん。昨年は埼玉県東部で発生したので、彩のかが やき、彩のきずな、彩のみのりでもヒメトビウンカの防除を行いましょう。

粒剤箱施用による病害虫防除

3 雑草防除

除草剤を使用した後は7日間湛水状態を維持し、その間は水があふれたり落水しないよう、適切な水管理に努めてください。なお、田植前の耕うんや代かきはていねいに行い、田面を均平に整えておくことが除草剤の効果を高めるポイントです。
苗の活着が悪いほ場や植え痛みが出たほ場は、使用時期を遅らせてください。また、気温が高くなると雑草の生育が早まり、使用時期の範囲内でも薬剤が効きにくくなるので注意しましょう。
一発処理剤で効果が不十分の場合は、草種に適した中期剤・後期剤との体系処理を行います。
後期剤で処理する場合、イネ科雑草ではクリンチャー、広葉雑草対象にバサグランが効果的です。使用する場合は、①効果的な雑草の大きさ、②落水処理等の効果的な条件、③使用時期の制限に注意してください。

4 施肥

基肥が過剰の場合、病害虫の多発や倒伏を助長するほか、食味の低下につながります。
品種に合わせた適正な施肥量を遵守しましょう。特にコシヒカリは倒伏しやすいので、基肥が多くなりすぎないように気を付けましょう。

標記の農薬の登録情報は平成26年4月14日現在のものです。

農薬の使用に際しては、ラベルを良く読み、使用量や使用時期、有効成分ごとの総使用回数などの使用基準を必ず守ってください。また、農薬の使用に当たっては、手袋、マスク等適切な保護具を使用するとともに、周辺の危被害防止にも注意してください。

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