水稲収穫前後の留意点

水稲収穫前後の留意点

1 水管理

今年も水稲の収穫時期が近づいてきました。早期落水すると、乳白米等による品質低下を招く心配がありますので、早期落水は避けましょう。ほ場条件にもよりますが、出穂期から概ね1ヶ月後までは、落水しないのが基本です。
また、台風等により強風が予想される時は、深水管理にしてください。
落水直後でも、高温で乾燥した風が吹く場合には、走り水程度にかん水しましょう。

2 収穫適期

収穫適期は、出穂後の気温を参考に推定します。早刈りでは、「青米」や「未熟米」が多くなり、刈り遅れでは「胴割米」や「茶米」が多くなる傾向があります。いずれにしても品質が低下しますので、次の表を参考に適期収穫を心がけましょう。

【表1】出穂期から見た収穫適期の目安
品種名 品種名 収穫適期の目安※2
コシヒカリ 7月25日
8月1日
8月5日
8月28日~9月4日
9月5日~9月12日
9月10日~9月18日
キヌヒカリ 7月25日
8月1日
8月5日
8月10日
8月29日~9月5日
9月6日~9月14日
9月11日~9月19日
9月15日~9月20日
彩のかがやき 8月10日
8月15日
8月20日
9月14日~9月23日
9月21日~9月29日
10月2日~10月15日
朝の光 8月5日
8月10日
8月15日
8月20日
9月8日~9月19日
9月14日~9月26日
9月23日~10月4日
9月29日~10月12日

※1「出穂期」とは、穂が出ている茎の割合が全体のおよそ半分になった時期をさします。
※2「収穫適期の目安」は、8月12日時点での推定値です。この日以降、平年より暑い日が続いた場合は表より早まり、反対に涼しい日が続いた場合は遅くなると見込まれます。

3 収穫

収穫収穫作業に入る前(別の品種の収穫を開始する時も同様)には、必ずコンバイン等を掃除してください。収穫した籾は、滞荷時間を少なくして、速やかに乾燥しましょう。
また、台風等の影響により、部分的に倒伏してしまったほ場や、地力や施肥ムラにより熟度に差があるほ場では、できるだけ刈り分けしてください。
特にキヌヒカリは、倒伏により穂発芽しやすくなります。穂発芽による品質低下を抑えるため、倒伏ほ場は収穫適期よりやや早めに収穫してください。

4 乾燥・調製

仕上がり籾水分は、14・5~15・0%を目標とします。急激な乾燥や過乾燥は、外観品質や食味を低下させますので注意しましょう。穀粒水分が20%を上回る場合は送風温度を40℃以下とし、水分が20%以下になったら送風温度を45℃に上げます。また、籾すりは乾燥後十分に籾が冷えてから行いましょう。
なお、ライスグレーダの網目は1・8mmとし、適正な流量で調製しましょう。

5 次年度の準備

稲刈りが終わった段階から、翌年の水稲栽培がスタートします。できるだけ速やかに一番耕を実施し、残った稲わらや稲株を土に返しましょう。この時期からは、日ごとに気温が低くなりますから、なるべく早く稲わら等を腐熟させるためにも、荒おこしは早めに実施してください。
稲わらに石灰窒素を20kg/10a散布すると腐熟が促進されます。

稲

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【注釈】

掲載している農薬の使い方(農薬使用基準)は、農林水産省が公開している記事掲載時点での農薬登録情報等と基に作成しました。
農薬使用の際は、下記に注意してください。

  • 登録内容に変更がないか、必ず最新情報を確認する。
  • 使用の際は、ラベルの注意事項を必ず確認し、適切に使用する。
  • 農薬使用基準は、農薬取締法に基づき、作物ごとに該当する農薬の使用方法、使用時期、回数などについて使用者が守るべき基準です。
    また、同一成分を含有する農薬を併用する場合は、成分の総使用回数に従う。