水稲育苗について

水稲育苗について

東松山農林振興センター

JA埼玉中央では、3月に育苗講習会が開催され、生産者の皆さんは種まきの準備に取りかかっていることと思います。「苗半作」と言われるように、実り多き秋を迎えるためには育苗作業は大きなウエイトを占めています。

早植地帯では種まきが始まっていることと思われますが、講習会で説明されたことを思い出しながら、次の点に注意して農作業を実施してください。

1 土の準備と育苗箱の消毒

自家土と購入培土のいずれを使用する場合でも、土壌消毒は必ず実施しましょう。

ほとんどの購入培土は、肥料は入っていますが農薬は使っていませんので、必ず立枯病防除をしてください。

また、育苗箱もできるだけ消毒してください。

昨年立枯病等を発生してしまった育苗箱を使用する時は、丁寧に洗って保存しておいても菌は残っていますので、薬剤消毒を必ず実施しましょう。

2 種もみの準備

種子更新は必ず実施しましょう。

また、充実した種もみを確保するために、塩水選を行いましょう。塩水選後は水洗いをしてください。

種子消毒は、温湯消毒か薬剤消毒を実施してください。

温等消毒は水温60℃の温湯で10分間浸します。

なお、薬剤を使用する場合、薬剤液の水温は10℃を下回りますと薬効が落ちますので、注意してください。

消毒後、コシヒカリは積算温度で120℃(約10日間)、その他の品種は100℃(7日間から10日間)を目安に浸種(水浸し)を行ってください。

浸種が終わったら、芽出しを行いましょう。浸種が十分な種もみなら、概ね30℃で1日間でハト胸状態になります(図1参照)。

図1 ハト胸状態
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3 種まき

種まきは、なるべく晴天日を選び、薄まきを心掛けましょう(表1参照)。

表1 適正播種量の目安
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その後は気温に十分注意し、育苗管理を行ってください(表2参照)。

温度計を置く場合は、育苗箱のそばに設置してください。

表2 温度管理の目安
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(1)出芽期

播種後2~3日は、温度を30℃に保って出芽させましょう(35℃以上にはしない)。

均一な芽が出たら、暖かい日を選んで苗出ししましょう。

苗代育苗は、被覆材を活用して温度管理をしてください。

過剰なかん水はしないようにしましょう。

(2)緑化期

播種後3~10日は、芽が徐々に緑色になってきます。

この時は温度を20~25℃くらいに保ち、過剰なかん水はしないように心掛けましょう。

かん水は、育苗箱の表土が乾いた頃を目安にしてください。

(3)硬化期

播種後11日~田植直前までは、苗を徐々に外気に馴らせていきましょう。

換気をして温度を調節しましょう。田植に近くなると被覆資材等を除去し始めますが、夜間が10℃を下回るような時は、生理障害を起こさせないようにするため、被覆材等で保温しましょう。

床土はやや乾かし気味にし、過剰な水やりはしないようにしてください。

4 病害虫防除

高温過湿にしますと、苗立枯病が発生する場合があります。

もし、病気や生理障害等が発生してしまった場合は、農協等に相談してください。

特に苗立枯病は、発生する病原菌(表3参照)によって使用する農薬が異なります。適切な農薬散布をしないと、効果がないばかりか病気を助長する恐れがありますので、注意してください。

表3 苗立枯病の対応
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【注釈】

掲載している農薬の使い方(農薬使用基準)は、農林水産省が公開している記事掲載時点での農薬登録情報等と基に作成しました。
農薬使用の際は、下記に注意してください。

  • 登録内容に変更がないか、必ず最新情報を確認する。
  • 使用の際は、ラベルの注意事項を必ず確認し、適切に使用する。
  • 農薬使用基準は、農薬取締法に基づき、作物ごとに該当する農薬の使用方法、使用時期、回数などについて使用者が守るべき基準です。
    また、同一成分を含有する農薬を併用する場合は、成分の総使用回数に従う。