水稲の育苗から田植後までの管理について

水稲の育苗から田植後までの管理について

平成29年の5、6月は高温でしたが、概ね健苗が育成でき、活着は良好で初期生育は順調でした。ため池を水源とする一部地域では少雨による水不足から代かきや田植作業の遅延が見られましたが、活着は良好で初期生育は順調でした。

関東甲信地方の3か月予報(平成30年3月24日)によると、5月の天気は数日周期で変わり、気温は平年並または高い確率ともに40%、6月は平年に比べ曇りや雨の日が多く、降水量は平年並または多い確率とも40%と予想されています。

気象の変動が大きい時期なので、温度管理と水管理に注意し、健全で充実した苗をつくり、安定生産を行いましょう。

1 育苗期の管理

この時期は気象変動が激しいため、苗代のトンネルや育苗用ビニールハウス内の温度管理(高温・低温)に注意してください。また、過かん水は控え、軟弱徒長を防ぎましょう。表1を参考に苗の生育に合わせた温度管理を心がけます。

表1 育苗期の温度管理の目安
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(1) 緑化期(本葉1葉期まで)

出芽させた苗を苗代に出す時は、強い直射日光にあてないようにします。日中は基本的に寒冷紗で被覆し、高温とならないよう注意します。気温の低下が予測される場合は、資材で被覆するなど夜間は15℃以下にならないよう管理します。過かん水は控えましょう。

(2)硬化期から田植(本葉1葉期以降)

日中は太陽光や外気に十分あてます。かん水は控え、ムレ苗が発生した場合は、早めに田植えを行うことで対処します。

(3)苗立枯病の防除

育苗中に苗立枯病が発生した場合は、表2を参考に薬剤防除を行います。

表2 苗立枯病の防除薬剤(例)
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2 田植前後の管理

(1)田植えのポイント

田植前の耕耘は、深さ15㎝を目標に行います。根がより深く、広く張ることにより、良好な生育の確保や夏期の高温対策に効果があります。

植付株数は坪当たり50~60株(30cm×18~22cm)が収量・品質面で安定しています。1株に植え付ける苗数は2~4本、植え付ける深さは2~3cmとします。

晩植条件では1株に植え付ける苗数を増やさず、植付株数を増やしましょう。

(2)粒剤箱施用による病害虫防除

表3を参考に、病害虫の予防をしましょう。

表3 育苗箱施薬による防除
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3 施肥

品種に合わせた適正な施肥量を遵守しましょう。

近年問題となっている高温対策として、地力を高め、根の活性維持や登熟期まで元気に生育できるよう、たい肥を投入することが有効です。また、ケイカル等のケイ酸質資材の投入は、根の活性維持による高温障害軽減の効果があります。

4 雑草防除

除草剤を散布した後は7日間湛水状態を維持し、その間は水があふれたり落水しないよう、適切な水管理に努めてください。なお、田植前の耕うんや代かきはていねいに行い、田面を均平に整えておくことが除草剤の効果を高めるポイントです。

苗の活着が悪いほ場や植え痛みが出たほ場は、使用時期を遅らせてください。また、気温が高くなると雑草の生育が早まり、使用時期の範囲内でも薬剤が効きにくくなるので注意しましょう。

標記の農薬の登録情報は平成30年4月10日現在のものです。
農薬の使用に際しては、ラベルを良く読み、使用量や使用時期、有効成分ごとの総使用回数などの使用基準を必ず守ってください。また、農薬の使用に当たっては、手袋、マスク等適切な保護具を使用するとともに、周辺の危被害防止にも注意してください。
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【注釈】

掲載している農薬の使い方(農薬使用基準)は、農林水産省が公開している記事掲載時点での農薬登録情報等と基に作成しました。
農薬使用の際は、下記に注意してください。

  • 登録内容に変更がないか、必ず最新情報を確認する。
  • 使用の際は、ラベルの注意事項を必ず確認し、適切に使用する。
  • 農薬使用基準は、農薬取締法に基づき、作物ごとに該当する農薬の使用方法、使用時期、回数などについて使用者が守るべき基準です。
    また、同一成分を含有する農薬を併用する場合は、成分の総使用回数に従う。