水稲育苗管理のポイント

水稲育苗管理のポイント

昔から苗半作といわれるように、収量が多く良品質な米づくりには、丈夫で健全な苗が必要です。日々変わる温度条件に対応した栽培管理を行い、田植えに備えましょう。

1 床土の準備について

自家採取の土を使う場合、肥料を混合します(例:JA取扱いの育苗用肥料(8・8・8)を床土100リットルあたり250~300g)。播種の7日前を目安に済ませ、土となじませておきましょう。水田の土を使う場合は、昨年病害等の問題が無かった土を必ず使用して下さい。

購入培土を使用する場合も、床土に病原菌が侵入し、病気が広がるのを防ぐため、消毒を行う必要があります。立枯病防除は必ず行いましょう。

2 資材の防除について

昨年病害が発生した育苗箱を使用する場合は、イチバンやケミクロンGを使用して必ず消毒しましょう。

3 種子の準備について

①種子更新

品種の特性を保ち、品質や収量の低下を防ぐため、必ず行いましょう。

②塩水選

塩水選は充実した種子を選抜するために行います。塩水選に用いる塩水は表1を参考に調整し、浮いた種子は処分して沈んだ種子のみを使用してください。塩水選後は種子をしっかり水洗いしましょう。

表1 種類別比重と食塩量
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③種子消毒
・温湯消毒を行う場合

60℃で10分間処理を行います。処理後は流水などで直ちに冷却して下さい。

・薬剤防除を行う場合

殺菌剤(テクリードCフロアブルなど)と殺虫剤(スミチオン乳剤など)を併せて使用して下さい。浸ける薬液の温度が低いと薬効が極端に落ちるので、薬液の温度は10℃を下回らないように管理しましょう。

④浸種

浸種する水温は10~15℃が目安です。積算温度(水温×浸種日数)はコシヒカリで120℃、他の品種で100℃が必要です。

浸種中は、1日1回を目安に種子をよく撹拌し、水は3~4日に1回取り替えましょう。ただし、薬剤を使用して種子消毒をしている場合は、薬の効果が落ちてしまうので最初の2~3日間は水を取り替えないようにしましょう。

⑤催芽

催芽は、お風呂の残り湯に漬ける、濡れむしろとビニールで包むなどの方法で30℃・24時間程度の温度をかけます。芽を伸ばしすぎると播種時に折れる恐れがあるため、図1のように適正なハトムネ状態になるようにしましょう。

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図1 適正なハトムネ状態

4 播種作業について

播種は薄くまくことを心掛けます(乾もみで80~100g、催芽もみで100~125g程度)。厚まきは、軟弱徒長の原因となるため避けましょう。

5 播種後の管理について

播種後は表2を参考に、時期に合わせた適切な温度管理をしましょう。

表2 時期ごとの温度管理の目安
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また、立枯病が発生した場合は、表3を参考に防除をしましょう。

表3 立枯病の防除
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①出芽期(播種後2~3日)
・育苗箱を積み重ねる場合

育苗箱を積み重ねる枚数は、10枚程度が適切です。積み重ねた育苗箱は保温マットやむしろとビニールで被覆し保温しましょう。

・露地出芽の場合

播種後すぐ苗代に出して出芽させる場合は、資材で被覆ししっかりと温度を確保しましょう。

②緑化期(播種後4~10日)

直射日光に当たると白化苗の原因となるので、強い日光に当たらないよう注意が必要です。

昼間は寒冷紗で被覆しますが、特に気温の低い日は、保温資材を活用し温度をかけることが必要です。

また、夜間は低温に遭遇しないよう、資材で保温し15℃以下にならないよう管理をします。過度なかん水は、根を冷やす原因になるので、土の内部まで乾いたらかん水するようにしましょう。

③硬化期(播種後10日~田植え)

苗を徐々に外の環境に慣らすため、日中は外気や日光に十分当てるようにしましょう。夜間は低温に遭遇するとムレ苗の原因となるので、寒い日は資材で被覆することが必要です。ムレ苗が発生してしまった場合は早めに田植えを行い、対応しましょう。

播種後は温度管理、水管理が非常に大切です。保温時は、35℃以上の高温にならないよう、適宜中の様子を確認しましょう。また、過度なかん水は控えるとともに、なるべく朝一番に行うようにしましょう。

※標記の農薬の登録情報は平成31年3月16日現在のものです。農薬を使用する際はラベルをよく読み、記載されている使用基準を順守しましょう。
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【注釈】

掲載している農薬の使い方(農薬使用基準)は、農林水産省が公開している記事掲載時点での農薬登録情報等と基に作成しました。
農薬使用の際は、下記に注意してください。

  • 登録内容に変更がないか、必ず最新情報を確認する。
  • 使用の際は、ラベルの注意事項を必ず確認し、適切に使用する。
  • 農薬使用基準は、農薬取締法に基づき、作物ごとに該当する農薬の使用方法、使用時期、回数などについて使用者が守るべき基準です。
    また、同一成分を含有する農薬を併用する場合は、成分の総使用回数に従う。