水稲の育苗管理について

水稲の育苗管理について

種籾の準備

1 種子更新

種子は採種ほ産種子を使用し、毎年更新しましょう。
自家採種の種子は、病害虫に汚染されている危険性があること、他品種の混入、生育ムラ等も心配されるので避けましょう。

2 種子消毒

種子消毒には温湯消毒と農薬による消毒があります。温湯消毒は発芽が揃いやすくなる効果もあり、防除効果は同程度です。

(1)温湯消毒

乾いた籾を使用し、籾の間を温湯が流れやすいように、所定量を網袋に余裕をもって詰めましょう。
専用の温湯消毒機を使用し、60℃のお湯に10~15分間(糯品種は6~8分間)浸漬し、その後直ちに流水で冷却します。

(2)薬剤消毒

薬液は所定の倍率に希釈し、種子容量の2倍(種子10kgに薬液20リットル)を目安に準備しましょう。薬剤の効果を安定させるため、直射日光の当たる日なたや極端な低温(10℃以下)となる場所を避けて行いましょう。

3 浸種 

消毒した種子を発芽させるために十分に吸水させます。
コシヒカリは積算温度(1日の平均水温×日数)で120℃程度、その他の品種は100℃を目安に行います。
浸種は最初の3日程度は静置し、水を換えないようにします。その後は、温度ムラが生じないよう網袋の位置を入れ替え、種籾が酸欠にならない程度に水を換えてください。

4 催芽

浸種が終わったら、一斉に発芽させるために芽出し(催芽)をします。
濡れむしろにくるんで、さらにビニールで包んで2日程度置いたり、風呂の残り湯に一晩漬けるなどして、はと胸状態にします。

播種

播種日の天候は出芽に大きく影響するので、なるべく晴天の日に行いましょう。
播種量は多すぎると苗立枯病が発生しやすくなるほか、軟弱徒長になりやすく、植え痛みによる初期生育停滞等の原因となります。中苗(苗の葉数が3.5~4.5葉、育苗日数約30日)の場合、催芽籾で1箱あたり100~125g(容量で160~200ml)、10a当たり26~30箱としましょう。

【注意】

ときおり、1箱当たりの播種量が稚苗育苗並(催芽籾:約200g)に多く、育苗日数が長い(30~40日)事例を見かけます。
この場合、苗が老化し、苗質の低下、田植え後の活着に影響するので、適正な播種量・育苗日数を守り、健全な苗を作りましょう。

苗床

苗が水没したり生育が不揃いにならないよう、高低や凹みを作らないように均平にしましょう。

出芽

1 積み重ね出芽

角材の上に苗箱を15~20枚重ねて積む方法です。最下段と最上段には土を入れて、種をまかずに水をかけただけの箱を積み、保温マットやむしろとビニールで被覆します。通常2~3日で出芽しますが、気温が低いと日数を要しますので、出芽が揃った箱から苗代に出して下さい。

2 露地出芽

播種後すぐ苗代に出して出芽させる場合は、気温によって出芽の善し悪しが大きく左右されます。保温マット等で被覆し灌水と換気に注意して、晴天時には高温による焼けや病害の発生、曇天の低温時には出芽不揃いなどの障害が発生しやすくなるので注意しましょう。

緑化期(本葉1葉期まで)

出芽が揃ったら、持ち上がった覆土を灌水して落ち着かせ、種子が露出している場合は土をかけます。
昼は寒冷紗、夜はさらにビニールで被覆し、気温の低下が予想されるときは、さらに保温マット等で被覆します。
温度管理の目安は昼が20~25℃、夜が15~20℃です。

硬化期~田植え(本葉1葉期以降)

プール育苗や苗代の場合は、本葉2葉期までは、水の高さは苗箱の底から約半分程度とします。それ以降は苗箱の上縁まで水を入れるようにします。
気温の低下が予想される時以外は、寒冷紗のみで管理しましょう。
肥切れが見られるときは、落水し、苗箱1枚当たり窒素成分で0.5g(硫安の場合、約2.5g)を0.5リットルの水に溶かして散布し、葉に付いた肥料は清水で洗い流して下さい。<
田植えが遅れて苗が伸びすぎるときは、灌水を控えぎみに管理し、田植え10日前頃に断根し、床面まで水を上げて下さい。
目標とする苗(中苗)は図1です。健全な苗は、田植え後の活着も早く、良好な生育に繋がります。

【図1】目標とする中苗

【図1】目標とする中苗

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【注釈】

掲載している農薬の使い方(農薬使用基準)は、農林水産省が公開している記事掲載時点での農薬登録情報等と基に作成しました。
農薬使用の際は、下記に注意してください。

  • 登録内容に変更がないか、必ず最新情報を確認する。
  • 使用の際は、ラベルの注意事項を必ず確認し、適切に使用する。
  • 農薬使用基準は、農薬取締法に基づき、作物ごとに該当する農薬の使用方法、使用時期、回数などについて使用者が守るべき基準です。
    また、同一成分を含有する農薬を併用する場合は、成分の総使用回数に従う。