水稲の中間管理(水管理・穂肥)

水稲の中間管理(水管理・穂肥)

本年は、梅雨入りが平年より12日程度早く、5月の日照時間は平年比83%と少ない状況でした。水稲の生育状況は全般的に、活着が概ね順調に進みましたが、茎数はやや少ない傾向です。
くもりや雨の日が続く場合は、いもち病の発生に注意するとともに、昨年のような異常高温が続くことも想定して、これらの対策を踏まえた適正な管理を行うことにより、安定生産と品質向上を図りましょう。

1 こまめな水管理の徹底

中干しは、有効分けつ(1株おおよそ18本~20本の茎数)を確保してから、行います。実施時期は5月中旬~下旬の田植えした稲で、移植後30~35日頃を目安にします。
水管理は、出穂前後各1週間は深水とします。出穂1週間後からの水管理は根の活力を低下させないように、間断かん水を実施し、落水は出穂後30日以降に行います。
なお、台風の通過後には、高温・乾燥の風が吹き、籾擦れなどによる籾の褐変が発生しやすいので、このような天候が予想されるときには深水管理を心がけ、品質低下や倒伏を防止します。

2 暑さに負けない施肥について

肥切れは株や根の老化を早めて、食味を落としますので適正な穂肥を実施しましょう。
(1)穂肥時期は、幼穂の長さにより診断します。
(2)穂肥量は、葉色板を利用し、最長葉(展開葉の第2葉または3葉の中央部)を測定します。

【表1】穂肥施用時期の目安
品種 施用時期 幼穂の長さ 葉色(単葉) 施用量の目安 ※
コシヒカリ 出穂18~15日前 10~20mm 4.1~4.3 1.5~2㎏
キヌヒカリ 出穂22~20日前 1.5~2mm 4.3~4.5 2㎏前後
彩のかがやき(普通植) 出穂25日前 1mm 4.0~4.3

※10a当たりの窒素成分量です。土壌や条件により、施肥量を調節します。
また、ケイ酸質資材は、根の活力、葉の光合成能力を高め、病害虫にも強くします。もし、田植え前に施用していない場合は、ケイ酸の吸収量が増える最高分げつ期~幼穂形成期に、ケイカルを40~60kg/10a散布しましょう。

3 病害虫防除

多雨寡照の気象条件が続く場合は、いもち病の発生に注意が必要です。いもち病は平均気温20~25℃が5日間続き、その後、稲の葉の湿った状態が10時間以上(その時の平均気温15~20℃)続く場合に発生しやすくなります。
また、移植後の補植用苗も発生源となりますので、早急に処分するとともに、例年発生が見られるほ場では必ず田の見回りを行い、初期病斑の早期発見に努めましょう。
なお、いもち病の防除薬剤を含め、主な適用病害虫の防除農薬の例を下の表に記載しましたので参考にしてください。

【表2】病害虫防除農薬の例
区分 農薬名 10a当たり使用量、
希釈倍率
使用時期 本剤の使用回数 適用病害虫
殺虫 パダンバッサ粒剤 3 ~ 4 kg 収穫30日前まで 5回以内 ウンカ類、イネツトムシ(注1)、ツマグロヨコバイ
スタークル粒剤 3 kg 収穫7日前まで 3回以内 カメムシ類(注2)、ウンカ類、ツマグロヨコバイ
殺菌殺虫 パダンオリゼメート粒剤 3 ~ 4 kg 収穫30日前まで 2回以内 いもち病、もみ枯細菌病、イネツトムシ(注1)、ニカメイチュウ
殺菌 キタジンP粒剤 3 ~ 5 kg 葉いもちに対しては初発7日前~初発時穂いもち、紋枯病に対しては出穂7日~20日前 2回以内 いもち病、紋枯病
イモチエース粒剤 3 kg 収穫35日前まで 1回 いもち病、紋枯病
モンカット水和剤 1000倍 収穫14日前まで 3回以内 紋枯病

※標記の農薬の登録情報は平成23年6月8日現在のものです。表の適用病害虫については、当地域における主要なもののみ記載しており、登録上使用可能な病害虫を全て記載しているわけではありません。
また、水田への農薬散布後7日間は、環境保全や効果の安定化のため、落水・かけ流しをしないなど適切な「水管理」を実施しましょう。
注1 イネツトムシの防除時期の目安は7月下旬~8月上旬
注2 カメムシ類の防除時期の目安は出穂期~乳熟期。カメムシ類は、畦畔や休耕田の雑草などに生息しています。草刈りは有効ですが、出穂前後2週間の草刈りはカメムシ類を水田に追い込むため避けましょう。
農薬の使用に際しては、ラベルを良く読み使用基準を守るとともに、周辺への飛散防止にも注意してください。

水田難防除雑草「クサネム」の対策
―種子の成熟前までに抜き取り、ほ場外で処分します―

今後の参考のために

1 クサネムの種子について

クサネムはマメ科の一年生雑草で、黒色の種子が米粒大のためグレーダーで選別できずに玄米に混入することが問題となっています。
この雑草は、畦畔や湿地など適度に湿った条件で発芽します。水田では水中でも発芽し、開いた葉が浮き上がって水面を浮遊し、田面が露出した部分で定着・生育します。

2 対策

(1)ほ場の均平と漏水を防止し、田面を露出させないようにします。
(2)発生ほ場ではクサネムの種子の成熟前までに抜き取り、ほ場外で処分します。
(3)除草剤による防除について
   ※クサネムの種子は休眠性で、ダラダラと発芽することから除草剤の体系処理(初中期一発剤+茎葉処理剤)が有効です。

クサネムの除草剤 例【ノミニー液剤】

〈使用量〉50~100ミリリットル/10a
〈使用方法〉落水散布又はごく浅く湛水して散布
〈使用時期〉移植後30日~クサネムの草丈40cmまで(但し、収穫60日前まで)
〈適用土壌〉壌土~埴土
〈本剤の使用回数〉1回
〈散布液量〉100リットル/10a

  • 種子の寿命も長いため、1年で完全に枯殺ができないことがあります。
  • 草丈が大きくなると完全に枯殺できないので、散布適期を見逃さないようにします。

暑い時期の農作業は、熱中症に十分注意して下さい。

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