水稲の中間管理

水稲の中間管理

5月31日発表による関東甲信地方の3か月予報では、「7月前半は、平年と同様に曇りや雨の日が多いでしょう。後半は、平年と同様に晴れの日が多いでしょう。」と発表されています。品質低下を招く高温の対策等、天候に応じた適正な管理を行い、安定生産と品質向上を図りましょう。

1 こまめな水管理の徹底

分げつ促進を目的に浅水管理を行ってきましたが、有効分げつ(1株約18~20本の茎数)を確保できたら、中干しを実施します。5月中下旬に田植えした場合、移植後30~35日頃を目安にします。程度は田面に小ひびが入るくらいで、天候やほ場条件により異なりますが、7~10日間が目安です。茎数が多すぎると乳白米が発生しやすくなるので注意して下さい。
中干し終了後、出穂前後各20日間は湛水、特に出穂前後各1週間は深水とします。なお、高温時は根の活力を維持するため出穂後7日以降、間断かん水に心がけ、品質低下を抑えます。この時期は特に高温の影響が大きいので、注意しましょう。それ以外は間断灌水とします。落水は出穂後30日以降に行います(図1)。早期落水は、白未熟粒が発生しやすく、粒張などに著しい悪影響を与えるので注意しましょう。

図1 中干し後の水管理
中干し後の水管理0701

気象庁から高温予報が発表された時は、畦畔の点検修繕、深水管理等の実施に備えましょう。なお、台風の通過後に高温・乾燥の風が吹くような天候が予想される場合は深水管理を心がけます。

2 暑さに負けない施肥について

肥切れは株や根の老化を早めて品質を落としますので、適正な穂肥を実施しましょう。穂肥時期は、幼穂の長さにより診断します。穂肥量は、葉色板により、最長葉(展開葉の第2葉または3葉の中央部)の色を測定し、施肥量の目安から加減を判断しましょう(表1)。

表1 穂肥施用時期の目安
穂肥施用時期の目安0701

ケイ酸質資材は、根の活力、葉の光合成能力を高め、病害虫にも強くなります。もし、田植え前に施用していない場合は、出穂前45~35日に、ケイ酸加里を10aに20~40kg施用しましょう。

3 病害虫防除

早めに病斑・食害等の発見に努め、早期防除を心がけましょう(表2、表3)。5月31日にヒメトビウンカ(縞葉枯病)の注意報が発表されました。コシヒカリ、キヌヒカリ等、縞葉枯病に抵抗性の無い品種は特に注意してください。また、補植用苗の早期撤去、畦畔雑草管理等、耕種的防除も積極的に行いましょう。出穂前後各2週間の草刈りは、カメムシ類を水田に追い込み、斑点米の発生を増やすので、避けましょう。

表2 防除時期の目安
防除時期の目安0701

表3 薬剤例(記載農薬は平成25年6月1日現在の登録状況に基づいています)
薬剤例

4 雑草防除

枯れ残った雑草がある場合、中・後期剤処理を行いましょう(表4)。

表4 薬剤例(記載農薬は平成25年6月1日現在の登録状況に基づいています)
薬剤例0701

難防除雑草「クサネム」はマメ科一年生雑草で、黒色の種子が米粒大のためグレーダーで選別できずに玄米に混入することが問題となっています。水田では、水中でも発芽したクサネムが水面を浮遊し、田面が露出した部分で定着・生育します。

次のような対策を行いましょう。

  1. ほ場の均平と漏水を防止し、田面を露出させないようにします。
  2. 発生ほ場ではクサネムの種子の成熟する前に抜き取り、ほ場外で処分します。
  3. 除草剤による防除

クサネムの種子は休眠性を持ち、ダラダラと発芽することから除草剤の体系処理(初中期一発剤+茎葉処理剤)が有効です。但し、種子の寿命も長いため、1年で完全に退治ができないことがあります。草丈が大きくなると完全に枯らせないので、散布適期を見逃さないようにします。

農薬の使用に際しては、ラベルを良く読み使用基準を守るとともに周辺への飛散防止にも注意してください。

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【注釈】

掲載している農薬の使い方(農薬使用基準)は、農林水産省が公開している記事掲載時点での農薬登録情報等と基に作成しました。
農薬使用の際は、下記に注意してください。

  • 登録内容に変更がないか、必ず最新情報を確認する。
  • 使用の際は、ラベルの注意事項を必ず確認し、適切に使用する。
  • 農薬使用基準は、農薬取締法に基づき、作物ごとに該当する農薬の使用方法、使用時期、回数などについて使用者が守るべき基準です。
    また、同一成分を含有する農薬を併用する場合は、成分の総使用回数に従う。