水稲の中間管理

水稲の中間管理

東松山農林振興センター

 

今年はゴールデンウィーク明けから曇りや雨の日が多く、関東地方では6月14日、平年より7日遅く梅雨入りしました。

5月25日気象庁発表の3か月予報によると「6月から8月の平均気温は平年より高い確率が40%・降水量は平年より高い確率が40%」となっています。

適切な水管理・施肥管理で暑さにまけない稲作りを心掛けましょう。

 

中干しについて

品種や坪あたりの植付株数にもよりますが、1株あたり20〜30本程度の分げつ数を確保できたら中干しを行います。

目安は、田面に小ひびが入る程度で7〜10日です。中干しは、

①土中に酸素を送り込むことで根を健全に保ち、倒伏や病害を抑制する

②窒素の吸収を抑え、無効な分げつを抑制する

③田面を固くし、コンバイン等の作業性を高める、

といった効果があります。過度の中干しは、かえって根を痛めることになるので注意してください。

 

2 高温対策を考えた肥培管理

高温に耐える強い稲を作るために、収穫直前まで適正な栄養状態が維持できるような管理をしましょう。

基肥で一発肥料を施用していない場合は、適切な時期に穂肥を施用することで収量や品質を高めることができます。

穂肥の施用時期と施用量を決めるためには、幼穂の長さ、葉色を測定します(表1)。

 
表1 穂肥施用時期の目安

 

JA埼玉中央が管内18ヶ所の展示ほを設置しており、穂肥施用の目安になる看板を設置しますので参考にしてください。

なお、遅い穂肥はタンパク値上昇に伴う食味低下を招きますので、適切なタイミングでの施肥を心がけてください。

 

3 出穂前後の水管理

幼穂形成期から穂ばらみ期にかけては稲が水を必要とする時期です。

特に出穂前後1週間は水を必要とするため深水で管理しましょう。

出穂1週間後から30日後までは、根の活性を保つために間断潅水を実施してください。(図1)

 
図1 出穂前後の水管理

 

4 病害虫防除

病害虫の防除には食害・病徴の早期発見が重要です。

 

5月26日発表の埼玉県病害虫防除所の病害虫発生予報によると、いもち病の発生量が多いとの予報が出ております。

いもち病は天候要因のほか、過剰な施肥でも発生が助長されます。また、過剰施肥による過繁茂は多くの病害虫発生の要因になります。

適正な量の施肥を心掛け、病気が発生した場合は早期防除を行いましょう(表2)。

 
表2 防除時期の目安

 

斑点米カメムシ類が多い地域では、地域ぐるみでほ場周辺の除草にあたり、出穂2週間前までを目安に徹底して生息場所を減らしましょう。

なお、それ以降のほ場周辺の草刈りはかえって水田に追い込むことになるので避けましょう。

特に、畦畔除草はカメムシ対策のため出穂前後2週間は行わないようにしましょう。

発生が多い場合は、出穂期〜乳熟期に2回カメムシ類対象の農薬を散布しましょう。

 

年によって、様々な病害虫が多発します。ほ場を注意深く観察して、早めの対処を心がけましょう。

 

なお、農薬を使用する際には、必ず使用農薬のラベルを確認して適正に使用するとともに 周辺への飛散防止にも注意し安全性確保に努めてください。

 

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【注釈】

掲載している農薬の使い方(農薬使用基準)は、農林水産省が公開している記事掲載時点での農薬登録情報等と基に作成しました。
農薬使用の際は、下記に注意してください。

  • 登録内容に変更がないか、必ず最新情報を確認する。
  • 使用の際は、ラベルの注意事項を必ず確認し、適切に使用する。
  • 農薬使用基準は、農薬取締法に基づき、作物ごとに該当する農薬の使用方法、使用時期、回数などについて使用者が守るべき基準です。
    また、同一成分を含有する農薬を併用する場合は、成分の総使用回数に従う。