いちごの品質向上に向けたこれからの栽培管理

いちごの品質向上に向けたこれからの栽培管理

東松山農林振興センター

 

近年の気候変動の影響により、厳寒期である1月でも外気温が20℃前後と春のような気温になる日があり、よりいっそう天候に合わせた栽培管理が必要になっています。

 

今作は、第一果房の花芽分化が遅れ、第二果房は定植後の低温寡日照によりやや早く分化しました。第一果房と第二果房の着花(果)数が多い株は、着果負担が大きくなっています。次の事項を再確認し、収穫後半の果実品質の安定化を目指しましょう。

 

 

1 いちごの適温管理

いちごの温度管理は下図を目安に行いましょう。株の近くに温度計を置き、株付近の温度が25℃以上にならないよう管理しましょう。

2021年2月_営農_図
図:いちごの目標管理温度

 

2 高温対策

2月以降、さらに光が強く日長も延びてくると、高温対策が必要になります。

高温は株を消耗させ、果実の小玉化、糖度が上がらないまま着色が進む、花芽形成が阻害されランナーが出やすくなる等の症状を引き起こします。

天気予報を確認し、日中のハウスが高温になり過ぎないよう換気に努めましょう。

また、高温対策には遮光(写真1)も有効です。

 

2021年2月_営農_写真1
写真1 遮光の様子

 

いちごの光合成が最大となる光の強さ(照度)は「2万~3万ルクス」と言われています。

遮光は、直射日光を和らげて果実の温度上昇を抑え、果皮のヤケ・傷みの発生を防ぎ、果実の品質向上につながります。

参考に、昨年の晴天時に計測した照度は下表のとおりです。遮光することで、いちごの光合成に適した光の強さに抑えることが出来ています。

 

2021年2月_営農_表
表:遮光の有無による照度(令和2年)
 

(1)遮光資材の種類

・白色遮光シート

光を散乱させるのでハウス内側に設置すると有効。

・レディヒート(温室用塗料)

光合成に必要な光は通し、熱を遮断する。

(2)遮光する時間帯「正午~午後3時」

午後の強い日差しを避けるように遮光しましょう。ただし、1日中遮光してしまうと光合成量が不足して株が弱まる恐れがあります。下の事項を参考に実施してください。

 

2021年2月_営農_太陽光の当て方

(3)遮光率の目安「60~70%」

真夏や晴天時の照度は10万ルクス以上の強い光です。光合成が最大となる光の強さ(約3万ルクス)まで遮光しましょう。

 

3 草勢の維持

(1)花房外側の葉を大切に

葉面積が大きい(葉枚数が多い)と、樹勢維持のために有利であるとともに味の良い美味しいいちごが生産できます。過度な摘葉は糖度低下の原因になるため、 今の花房、次の花房のため葉を残す管理を心がけましょう。

(2)ランナーや収穫の終わった果梗は取り除く

栄養分の無駄遣いとなるので、早めに取り除きましょう。

また、開花数が多い場合は、摘「花」して着果負担を減らしましょう。

 

 

4 かん水は少量・多回数

気温が上がるとともに、いちごの生育量が増え、必要な水の量が増えてくる時期です。

ただし、間隔を空けて一度に大量の水をやると、土壌水分の変動が根にストレスを与えてしまいます。

かん水のポイントは次のとおりです。

 
 

(1)少量・多回数

土耕栽培で通路に水が染み出している場合は、一度に与える水の量が多すぎるため見直しましょう。

(2)かん水は午前中

午後3時以降のかん水はハウス内の湿度を高めるため、病害を助長する恐れがあります。

 

 

5 害虫対策

気温の上昇に伴い、アブラムシやアザミウマ等の害虫が活動を始めます。換気をする機会も増えるため、害虫がハウスに侵入しやすくなる時期です。

ハウス外からの害虫の飛び込みを軽減するには、ハウス周辺の除草が有効です。また、除草の省力化に向けて、防草シートの設置を検討しましょう。

 

また、ハダニ防除では、ハダニが生息する「葉裏」に農薬が付着するよう丁寧に散布することが重要です。写真2のような葉がある場合は、株ごと除去するか、ハダニが多発生している葉を取り除いてから殺虫剤を散布しましょう。農薬を使用する際はラベルをよく読み、記載されている使用基準を順守しましょう。

2021年2月_営農_写真2

写真2 ハダニ多発生の葉

 

 

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【注釈】

掲載している農薬の使い方(農薬使用基準)は、農林水産省が公開している記事掲載時点での農薬登録情報等と基に作成しました。
農薬使用の際は、下記に注意してください。

  • 登録内容に変更がないか、必ず最新情報を確認する。
  • 使用の際は、ラベルの注意事項を必ず確認し、適切に使用する。
  • 農薬使用基準は、農薬取締法に基づき、作物ごとに該当する農薬の使用方法、使用時期、回数などについて使用者が守るべき基準です。
    また、同一成分を含有する農薬を併用する場合は、成分の総使用回数に従う。