いちご育苗期の管理

いちご育苗期の管理

東松山農林振興センター

 

「苗半作」といわれるように、苗の良し悪しは定植後の初期生育や収量に影響します。

次の内容を参考に、育苗環境や管理作業を確認して、健全な苗の確保に努めましょう。

 

健全な苗

〇病害の感染・害虫の寄生のない苗

〇生育が良好な苗(根の褐変がなく、十分なクラウン径)

 

 

1 栽培管理のポイント

(1)親株の管理

・ランナーの伸長開始時期は、親株定植後一か月以降としましょう。

・秋に親株を定植した場合など、クラウンが露出していることがあります。クラウン部に土寄せしたり培土をして、発根を促しましょう。

 

(2)かん水

・手かん水又はかん水チューブを利用して、葉を濡らさないように工夫しましょう。

・夕方など、乾きにくい時間帯のかん水は避けましょう。

・ムラなくかん水し、過乾燥にしないようにしましょう。但し、やり過ぎると培土の表面に苔や藻が発生します。

 

(3)子苗のポット受け

ポット育苗の場合、育苗日数が長すぎると根詰まりを起こし老化苗となります。

ポットの大きさや定植時期を考慮して、子苗をポットに受ける時期を決めましょう。

 

2 病害虫防除

本ぽに病害虫を「持ち込まない」ために育苗期の防除を徹底しましょう。

 

(1)炭疽病・萎黄病

発病株の残渣を含む土壌や潜在感染株が伝染源となり、かん水や雨による水・泥はねで周囲に伝染します。

下記のチェックリスト(表)で病気にかかりにくい育苗環境を整えましょう。

 

また、高温・多湿条件で伝染しやすいため風通しよく管理しましょう。

炭疽病は20℃を超えると増加します。

気温を見ながら農薬(予防剤)散布を開始し、10日間隔で病原菌への作用が異なる薬剤をローテーション散布しましょう。

 

発病が疑われる株とその周囲の株は、速やかにほ場外に持ち出し処分してください。

 

(2)ハダニ類

ハダニ類は葉裏に生息するため、葉裏や葉柄にもよくかかるように丁寧に農薬散布しましょう。

 

3 高温対策

いちごは比較的冷涼な気候を好みます。生育適温(25℃)を超えないよう、換気を積極的に行ったり、遮光資材を活用して温度上昇を抑えましょう。

 

(1)遮光資材の種類

①黒色

光・熱を吸収する。外部遮光向き。耐久性が高い。

②白色

光・熱を反射する。外・内部遮光向き。耐久性は中程度。

③銀色(アルミ蒸着フィルム)

光・熱を反射する。内部遮光向き。耐久性が低い。

 

(2)太陽光の当て方(一例)

①午前(光合成盛ん)

かん水して太陽光に当てる

②正午から午後3時

遮光実施(株の消耗を防ぐ)

③午後3時から日没

遮光を開けて西日を当てる(夜間濡れた状態にしない)

 

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【注釈】

掲載している農薬の使い方(農薬使用基準)は、農林水産省が公開している記事掲載時点での農薬登録情報等と基に作成しました。
農薬使用の際は、下記に注意してください。

  • 登録内容に変更がないか、必ず最新情報を確認する。
  • 使用の際は、ラベルの注意事項を必ず確認し、適切に使用する。
  • 農薬使用基準は、農薬取締法に基づき、作物ごとに該当する農薬の使用方法、使用時期、回数などについて使用者が守るべき基準です。
    また、同一成分を含有する農薬を併用する場合は、成分の総使用回数に従う。