今後のいちご栽培管理と食味向上のポイント
今後のいちご栽培管理と食味向上のポイント
東松山農林振興センター
近年は暖冬の年が多く、かつ同じ季節の中での気温の変化が激しい傾向にあります。そのため、今後のいちご栽培では、気温の変化に対応した栽培管理の重要性が増しています。
次のポイントを意識し、高品質・良食味いちごの安定生産を目指しましょう。
1. 今後のいちご栽培管理のポイント
- (1)温度管理
- ○いちごの株付近の気温を測定し、表1を目標に管理しましょう。(日平均気温が測定可能な場合は、15℃を超えないように)
- ○午前中は、急激な草勢向上(糖度低下の要因)、果実の結露(灰色かび病などの原因)を避けるため、緩やかな気温上昇(1時間に2~3℃まで)を心がけましょう。

- (2)かん水
- ○できるだけ少量ずつ・回数を分けて行いましょう。間隔を開けて一度に大量の水を与えると、土壌水分の変化が大きくなり、根の働きや肥料濃度に影響します。
- ○午前中を中心に行いましょう。夕方のかん水は、地温低下、土壌の過湿により、徒長、根腐れ、病害発生を助長します。
- ○年明け以降は、日射量増加に比例して葉からの蒸散量が増加し、着果負担も多くなるため、かん水量が不足しがちです。
・かん水不足は、光合成量の制限に伴う葉の小型化や、チップバーン発生の要因の一つにもなります。株の状態も見ながら少しずつかん水回数を増やしていきましょう。
- (3)芽数の整理、ランナー・果房の除去
- ○年内は、1芽での管理を徹底し、光合成で作られた糖を1芽に集中させることで、果実品質(サイズ・糖度)を確保するとともに、春先以降の過繁茂を防ぎましょう。
- ○厳寒期は葉が小さくなるため、光合成のための葉枚数の確保(最低7枚以上)による収量・糖度の確保を優先し、葉かきは枯葉・病害葉のみとします。
- ○ランナー、収穫終了後の果房は早めに除去し、ムダな糖の消費を抑えましょう。
2. いちごの食味向上に向けた温度管理のポイント
- (1)開花~収穫までの日数(成熟日数)の確保
- ○いちごの糖度向上には、成熟日数を十分確保し、光合成により葉で作られた糖を、果実に時間をかけて転流させることが重要です。
- ○成熟日数は、概ねハウス内の日平均気温を足して求めた積算温度で決まってきます(表2)。

- (2)春先以降のハウス内気温上昇対策
- ○春先以降(2月以降)は、日射量の増加に伴い(図1)、外気温が低くても、午前中のハウス内気温が上昇しやすくなります。
→急激な草勢向上、成熟日数短縮による糖度低下の要因に! - ○ハウス内での気温の変化をとらえ、気温が高くなりすぎる前に、早めの対策をとりましょう(表3)。


- (3)ハウス内の気温を把握しましょう!
- ○軒高や被覆資材の種類、換気方法、日当たりなどの違いにより、ハウスごとに環境が異なるため、自身のハウスの気温を測定し、管理に活かすことが重要です。
- ○ハウス内の日平均気温や値の推移(グラフ)を、スマホなどで確認可能な測定機器の導入をおすすめします。(簡易的なものであれば、数千円から導入可能)
詳しくお知りになりたい方は、東松山農林振興センターまでお問い合わせください。
3.春に向けた親株管理のポイント.
次作のいちご栽培は、親株の管理からスタートしています。親株の発根量を増やし、根張りを良くすることが、その後のランナーの発生数、子苗への養水分の供給などに影響します。
- 【ポイント】
- ○秋にプランターやポットに定植した親株は、2月以降に休眠から覚めた後、スムーズに生育が進むように、冬の間は十分寒さにあてる。
(病気予防のため、雨よけは行うものの、保温は行わない(=換気窓は開ける)) - ○2月以降、休眠から覚めて成長し始める時期に追肥を行う。
- ○春に親株を定植する方は、納品後すぐに定植できるよう、早めに定植準備(①育苗ハウスの片付け・清掃、②プランターやポットの消毒・配置、③培土の充填など)を行う。

【注釈】
掲載している農薬の使い方(農薬使用基準)は、農林水産省が公開している記事掲載時点での農薬登録情報等と基に作成しました。
農薬使用の際は、下記に注意してください。
- 登録内容に変更がないか、必ず最新情報を確認する。
- 使用の際は、ラベルの注意事項を必ず確認し、適切に使用する。
- 農薬使用基準は、農薬取締法に基づき、作物ごとに該当する農薬の使用方法、使用時期、回数などについて使用者が守るべき基準です。
また、同一成分を含有する農薬を併用する場合は、成分の総使用回数に従う。
