新型!獣害防止柵「楽落(らくらく)くん」 ~高さ40cm、動物の行動観察から考案した電気柵~

新型!獣害防止柵「楽落(らくらく)くん」 ~高さ40cm、動物の行動観察から考案した電気柵~

1 鳥獣害の動向

最近になって、サル、イノシシ、シカなどの在来動物に加えて、もともと日本にいなかった動物、「外来動物」の存在が驚異になっています。主役はハクビシンとアライグマです。両種は在来動物とは異なる生活様式をもち、優れた運動能力を備えた、農作物にとって手強い動物です。また、生息域の広がりは非常に速く、侵入に対しての警戒は常に意識しておく必要があります。

2 特徴・被害の様子

(1)アライグマ

  1. アライグマ科、北米原産で外来生物法の外来動物に指定。昭和52年テレビアニメでブーム。平成18年以降東松山市を中心に急増、現在は県内全域に拡大。
  2. 主に夜間に活動するが昼間も活動。ねぐらは神社仏閣や住宅・倉庫等建物の天井裏、廃材の下など。
  3. 移動は河川や用水路、側溝等の水際を使う。
  4. 木登りが得意。ツメと手のように使える前肢を巧みに使う。ものを掴んだり扉を開けられる。
  5. 雑食性で何でも食べる。甘いものを好む。特徴は「前肢の傷跡」

(2)ハクビシン

  1. ジャコウネコ科、もともと日本にはいなかったが江戸時代から存在の記録がある。
  2. 夜行性、昼間は神社仏閣や住宅・倉庫等建物の天井裏で休息。複数のねぐらをもっている。
  3. 移動は河川や用水路、側溝等の水際を使う。
  4. 1mm以下の針金を歩く。6cmの隙間があれば侵入可能。1.2mの高さは乗り越える。
  5. 雑食性で何でも食べるが甘いものを特に好む。秩父のブドウは14~5年前から被害あり。

特徴・被害の様子

3 対策

アライグマについては、外来生物法の埼玉県アライグマ防除実施計画に基づく捕獲を実施していますが、毎年約2千頭(内比企郡約半数)捕獲しても被害は増える一方です。「市役所・役場に捕ってもらえばいいや」では、被害を防止することはできません。
対策の基本は、

  1. 食! 栄養源となるエサを与えない。
  2. 住! 安心して繁殖・生活できる場所を提供しない。
  3. 体! 効率的な個体管理を行うことで初めて効果が上がります。特に食については、生産者自らが対策するしかありません。「自分の畑は自分で守る」気構えが必要です。

4 新型! 獣害防止柵「楽落(らくらく)くん」

畑への侵入防止は、電気柵が最も有効です。
「楽落くん」は、「管理作業への支障を少なくし、低コストで設置に時間を取らない、移動が簡単である」ことをコンセプトにアライグマやハクビシンなどの中型動物を対象に県農林総合研究センターが開発しました。
動物の行動観察から考案した高さ40cmの電気柵であるため、以下の4点を守って設置しないと、柵の効果を100%引き出せないので御注意ください。

  1. 被害が発生する前に設置する。(図1参照)
  2. 柵は1日で作り、作ったその日に必ず通電させる。
  3. 設置中は常時通電させ、雑草による漏電防止などの見回りをこまめに行う。
  4. 収穫が終わったら速やかに片付ける。
【図1】県内で被害にあいやすい作物と被害時期

県内で被害にあいやすい作物と被害時期

【図2】「楽落くん」模式図

「楽落くん」模式図

【図3】スイートコーンほ場での設置の様子

スイートコーンほ場での設置の様子

野菜イラスト
昨年、東松山農林振興センターでは、農林総合研究センター鳥獣害防除担当の協力を得て、「楽落くん」の獣害防除実証ほ場を3カ所設置しました。

  1. いちご10a(3月~5月)、川島町小見野地区
  2. じゃがいも10a(4月~6月)、東秩父村御堂地区
  3. かぼちゃ10a(9月~11月)、嵐山町平沢地区

その結果、アライグマやハクビシンなどの中型動物被害はもちろん、イノシシ被害も防止できました。
今後は、農林総合研究センター鳥獣害防除担当の協力のもと市町村と連携して「楽落くん」の実証を重ねると共に、「楽落くん」の普及に向けて手軽に資材が購入できるようにJAと体制づくりを進めていく予定です。

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