農作物の獣害対策について

農作物の獣害対策について

東松山農林振興センター

「収穫間際のスイートコーンが、アライグマにやられた」

「田んぼがイノシシに荒らされて収穫皆無になった」

「枝物の芽をみんなシカに食べられてしまった」・・・などなど、近年、野生鳥獣による農作物被害の声が多く聞かれるようになりました。

もともと当管内は、中山間地を背景に、遊休農地も多く、野生鳥獣にとっては、生息しやすい環境といえます。これからは病害虫管理と同様、獣害対策も、農作物管理の一環として重要になってきたといえるかも知れません。

そこで今回は、特に管内で問題となっている、シカ、イノシシ、アライグマ、ハクビシン等の獣害対策について考えていきたいと思います。

1 光・音・臭いは効果なし

獣害対策のアイテムとして、よく光や音、臭いなどを素材とした商品が紹介されていますが、いずれも継続的な効果は期待できないことがわかっています。

獣たちは、生息環境に今までなかったものを見つけると、一度は警戒心を示し、寄り付かなくなったりします。しかしなんの危険もないことを認識すると、全く関心を持たなくなります。それどころか、対策として設置したものが、獣にエサのありかを示す目印にさえなってしまいます。

その意味で、電気柵による田畑への侵入防止対策は、最も有効な手段といえるでしょう。

2 電気柵使用上の留意点

しかし電気柵といえども、正しく使わなければ効果がありません。

むしろ、一件の失敗が、地域全体の電気柵を無効にしてしまうこともあるので、注意が必要です。

①電気は設置したら即流す

電気柵使用上の第一の留意点は、設置後、すぐに電気を流すということです。先にも書きましたが、獣たちは、生息環境に今までなかったものを見つけると、一度は警戒心を示し、鼻先等を使って探査行動を始めます。その際、感電させ効果を発揮するのが電気柵です。最初の探査行動の時に感電させられるかどうかが、勝負です。ここでうまく感電させられれば、それ以降は警戒し、ほ場に近づくことがなくなります。

したがって、電気柵設置後は、すぐに電気を流し、いつアライグマやハクビシンがやって来ても、感電させられるようにしておくことが大切です。

②電気は昼夜分かたず流す

獣は夜現れるから、夜だけ電気を流すというのは誤りです。彼らは人の気配を警戒しているだけで、昼間でもちゃんと活動しています。

電気の流れていない昼に電気柵に出会った場合、電気柵そのものを、「警戒する必要のない構造物」として認識し、その後は容易にほ場に侵入するようになります。電気は必ず昼も夜も流し続けてください。

③電線の間隔が大事

電線はただ張っておけば良いわけではありません。獣種ごとに守るべき間隔があります。

アライグマとハクビシンの場合、頭の骨格が5.5cmくらいなので、それ以上の空間はなんの警戒もなくくぐり抜けてしまいます。また、イノシシやシカは20cm間隔に電線を設置すると、効果があるのに、30cm間隔にすると、全く効果がないことがわかっています。

④獣は下からくぐろうとする

シカやイノシシのような大型の獣でも、侵入防止柵の中に入ろうとするときは、柵の裾に頭が入る隙間がないかどうかを探します。ジャンプして飛び越えるイメージが強いのですが、基本的には下からくぐり抜ける方が多いことが確認されています。よって、柵を設置したり、柵と電線を併用した電気柵を用いる場合には、柵の裾をしっかり固定するか、土で埋めるなどして、侵入できる隙間を作らないようにしましょう。

⑤漏電防止のため雑草管理を

電気ショックを獣に与えるためには、一定以上の電圧をキープする必要があります。乾電池の消耗に注意することはもちろんですが、雑草やつる性植物が電線にからみついて、漏電してしまうことにより、電圧が低下することが最も心配です。特に夏場のトウモロコシやスイカのほ場まわりでは、雑草の生育が早いため、すぐに電線に雑草が接触し、漏電を招いてしまいます。電気柵の効果を維持するために、漏電対策としての雑草管理は欠かせません。

⑥人にも注意喚起を

電気柵による事故が報じられた記憶もまだ新しいかと思います。乾電池使用の市販の電源ユニットの場合、1.5ボルト×単一乾電池8本=12ボルトが主電源となっており、人体に影響を及ぼすようなことはありませんが、危険表示は必ず行い、注意喚起を怠らないようにしてください。

※電気柵の正しい設置方法については「電気柵 正しい」でホームページを検索してください。また、埼玉県が開発した電気柵等の情報は以下のホームページでご覧になれます。

HP http://www.pref.saitama.lg.jp/b0909/cyoujyuu-tantou.html

 

3 シカに電気は不要だった

先に、電気柵による田畑への侵入防止対策が有効と書きましたが、シカに限っていえば、電線は不要でした。

大抵の獣は電気柵で感電すると、後方へ身を翻して逃げて行きますが、シカの場合、必ずしもそうではありませんでした。むしろ驚いて、前に突っ込んで行き、せっかく設置した侵入防止柵を破壊してしまうことがたびたびありました。

そこで2m間隔に支柱をたて、高さ1.8m程度の防獣ネットを設置し、ネットの裾を固定して侵入場所をなくすことにより、畑への侵入を阻止できることが確認できました(写真)。必要な資材は、直管パイプ、防獣ネット、パッカー、結束バンド程度です。シカでお困りの方は是非、試してみてください。

現地で実証したシカ侵入防止柵
201702

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【注釈】

掲載している農薬の使い方(農薬使用基準)は、農林水産省が公開している記事掲載時点での農薬登録情報等と基に作成しました。
農薬使用の際は、下記に注意してください。

  • 登録内容に変更がないか、必ず最新情報を確認する。
  • 使用の際は、ラベルの注意事項を必ず確認し、適切に使用する。
  • 農薬使用基準は、農薬取締法に基づき、作物ごとに該当する農薬の使用方法、使用時期、回数などについて使用者が守るべき基準です。
    また、同一成分を含有する農薬を併用する場合は、成分の総使用回数に従う。