麦の栽培管理について

麦の栽培管理について

冬の間は、気温が低く麦の生育も緩慢ですが、良質麦の安定多収を目指すために必要な管理をする重要な時期です。
麦づくりカレンダー「平成21年まき 埼玉県今月の麦づくり」を参考に適期作業を行いましょう。

麦の生育と栽培管理

1 麦踏み

麦踏みには、

  1. 分げつ発生促進
  2. 地上部の生育(伸びすぎ)抑制
  3. 根の伸長促進
  4. 倒伏軽減
  5. 凍上害の防止
  6. 穂揃いを良くする。

等の効果があり、収量・品質の向上にとって簡単で重要な技術です。

麦の葉が2枚出たら麦踏みができます。麦踏みは10日程度の間隔を空けて、茎立ち前までに3~5回程度実施しましょう。麦踏みローラーには適度なおもりを乗せて、ゆっくりと走行しましょう。【表1】

【表1】麦の生育と栽培管理

栽培管理

2 雑草防除

生育期防除の基本は、「適期適剤」です。雑草の種類と大きさを見て除草効果を高めます。【表2】

【表2】生育期処理除草剤
薬剤名 適用雑草 使用時期 使用量 散布液量 総使用回数
ハーモニー75DF水和剤 スズメノテッポウ
一年生広葉雑草
は種後~節間伸長前(但し、スズメノテッポウ5葉期まで) 5~10g/10a 100l/10a 1回
アクチノール乳剤 畑地一年生広葉雑草 穂ばらみ期まで(雑草生育初期)
カラスノエンドウは2~3葉期まで
ヤエムグラは4節期まで
100~200ml/10a 70~100l/10a 2回以内
エコパートフロアブル 一年生広葉雑草 節間伸長開始期まで広葉雑草2~4葉期、ヤエムグラ2~6節期(但し、収穫45日前まで) 50~100ml/10a 100l/10a 2回以内
バサグラン液剤 一年生雑草(イネ科を除く) 小麦の生育期(雑草の3~6葉期)
(但し、収穫45日前まで)
100~200ml/10a 70~100l/10a 1回

ハーモニー75DF水和剤はハーモニー細粒剤Fを使用したほ場では使用しない。
カラスノエンドウ優先ほ場では、アクチノール乳剤を使用する。
エコパートフロアブルはヤエムグラには効果が高いがカラスノエンドウには効果が劣る。

平成21年12月2日現在の登録内容です。
農薬を使用する際はその都度容器等の表示を十分確認し適正に使用しましょう。
また、収穫前にカラスムギやネズミムギ(イタリアンライグラス)、カラスノエンドウが見られる場合は、発生数の少ないうちに種子を落とさないよう手取り除草をしましょう。

3 追肥

小麦の収量と加工適性を高めるためには、追肥が重要です。
2月下旬~3月上旬に生育に応じ、窒素成分で1~2kg施用します。【表3】

【表3】小麦(水田農林61号)追肥量の目安(10gあたり)
  窒素成分 アラジン444
(14-14-14)
硫安
(21-0-0)
石灰窒素
(21-0-0)
ドリル播 1~2kg 7~15kg 5~10kg 5~10kg

「みどりくんN」を使った簡易土壌診断は施肥量の判定に便利です。実施する場合には各営農経済センターか農林振興センターにお問い合わせ下さい。

4 排水対策

播種時に設置した明きょや排水溝が、麦踏み等によって崩れている場合があります。3月中旬頃には再度点検し、降った雨が滞水せずにすぐに排水できるようにしましょう。
湿害の軽減により登熟歩合が向上し、品質(灰分・容積重)・収量の向上が図れます。【表4】

【表4】小麦の品質評価基準
項目 基準値 影響する主な要因と対策
たんぱく質 9.7~11.3% 地力・施肥量(追肥により向上)
灰分 1.60%以下 登熟向上で低下(麦踏・排水対策)
容積重 840g/L以上 登熱向上で増加(麦踏・排水対策)
フォーリングナンバー 300以上 登熱後期の降雨(適期収穫)
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【注釈】

掲載している農薬の使い方(農薬使用基準)は、農林水産省が公開している記事掲載時点での農薬登録情報等と基に作成しました。
農薬使用の際は、下記に注意してください。

  • 登録内容に変更がないか、必ず最新情報を確認する。
  • 使用の際は、ラベルの注意事項を必ず確認し、適切に使用する。
  • 農薬使用基準は、農薬取締法に基づき、作物ごとに該当する農薬の使用方法、使用時期、回数などについて使用者が守るべき基準です。
    また、同一成分を含有する農薬を併用する場合は、成分の総使用回数に従う。