これからの麦の管理  〜冬の管理で麦秋が変わる〜

これからの麦の管理  〜冬の管理で麦秋が変わる〜

1 今年の麦の生育状況

麦今年産麦は播種期から年内にかけて、気温が平年並から高めに推移し、降水量も多かったことから、やや軟弱傾向の生育となっています。
気象庁発表の3ヶ月予報によると、今後もこの傾向が続くと予想されることから、今年の麦には暖冬に対応した栽培管理が必要です。

2 今後の管理

暖冬年の管理の基本は、(1)軟弱徒長を防ぐ麦踏み、(2)追肥による肥切れ防止、(3)雑草の発生抑制、(4)大雨に対応した排水対策です。1月~3月の管理次第で収量、品質に大きな差が出てきます。

(1)麦踏み

麦踏みは、茎葉に傷を付けることにより水分が失われ、充実度が増して耐寒性が向上します。これと同時に、発根が促進され根長、根量が増加します。また、主稈の伸長が抑制され、分けつの発生が増加することから、稈長が短くなり、穂数の増加と穂揃いが良くなり、倒伏軽減や収量・品質の向上にも効果があります。
ただし、土壌水分の多いときには土壌が圧密化し、発根を妨げるので避けましょう。
麦は3枚目の葉が出始めたら1回目の麦踏みができます。その後は10日~2週間間隔を開けて茎立前(大麦は2月下旬、小麦は3月上旬)までに3~5回程度実施しましょう。

(2)追肥

暖冬だと生育が旺盛になり、肥料が早く使われます。また、降水量が多いと肥料が流亡しやすいため、生育後半に肥料不足となり、収量やタンパク質含有量の低下を招きます。
麦の生育にあわせて、2月下旬~3月上旬に10aあたり窒素成分で1~2kg追肥しましょう。

(3)雑草防除

年明け以降、播種後に散布した除草剤の効果が低下し、徐々に後発の雑草が発生してきます。暖冬年では雑草の発生も早まります。前年発生した雑草は、今年も必ず発生するので、雑草の種類と発生状況を観察し、適期に適切な除草剤で防除し、製品への混入を防ぎましょう。

(4)排水対策

麦は畑作物のため過湿に弱い作物です。茎立期以降は新根の発生が減少することから、気温が上昇してきてからの滞水は、根を傷め収量・品質の低下に直結します。冬の間に必ず排水溝(明きょ)を設置し、湿害を防ぎましょう。

【表1】麦類生育期の雑草防除(茎葉処理剤)
薬剤名 10aあたり使用量 処理時期等 使用回数
エコパートフロアブル 50~100ml 畑地一年生広葉雑草
広葉雑草2~4葉期
ヤエムグラ2~6節期
節間伸長開始期まで
収穫45日前まで
2回
バサグラン液剤 100~200ml イネ科を除く一年生雑草
麦類の生育期
雑草3~6葉期
大麦は収穫90日前まで
小麦は収穫45日前まで
1回
アクチノール乳剤 100~200ml 畑地一年生広葉雑草
雑草生育初期
穂ばらみ期まで
ヤエムグラは4節期まで
カラスノエンドウは2~3葉期まで
2回
ハーモニー75DF水和剤 5~10g 畑地一年生広葉雑草及びスズメノテッポウ
播種後から節間伸長前
スズメノテッポウ5葉期まで
ハーモニー細粒剤Fを使用した場合は使用しない
使用後は消石灰を使用して十分に洗浄する
1回

この表は平成20年12月3日現在の登録情報に基づき作成しています。
農薬を使用する際には、必ず使用農薬のラベルを確認して適正に使用して下さい。

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【注釈】

掲載している農薬の使い方(農薬使用基準)は、農林水産省が公開している記事掲載時点での農薬登録情報等と基に作成しました。
農薬使用の際は、下記に注意してください。

  • 登録内容に変更がないか、必ず最新情報を確認する。
  • 使用の際は、ラベルの注意事項を必ず確認し、適切に使用する。
  • 農薬使用基準は、農薬取締法に基づき、作物ごとに該当する農薬の使用方法、使用時期、回数などについて使用者が守るべき基準です。
    また、同一成分を含有する農薬を併用する場合は、成分の総使用回数に従う。