田植前後の管理について

田植前後の管理について

東松山農林振興センター

 

関東甲信地方の3か月予報(令和5年3月20日)によると、5月の天気は数日周期で変わり、平年と同様に晴れの日が多く、6月は平年と同様に曇りや雨の日が多いと予想されています。

5月、6月の気温は平年並か高く、降水量は、ほぼ平年並の見込みです。

田植え前後の時期の急激な気象の変化や、次の事柄に気を付けて管理しましょう。

 

1 緑化期以降の管理

播種から7~10日程度経過し、苗に光を当てて光合成を始めさせる期間が緑化期です。

急な強い光や温度変化は、白化現象を引き起こしますので、必ず寒冷紗をかけましょう。

 

かん水は土の表面が乾いてから行い、夜は15℃以下にならないように管理しましょう。

硬化期以降、寒暖の変化が大きいときは、温度管理を誤ると、①苗立枯病の発生、②発芽後に芽が焼ける、③生育後半にムレ苗が発生、などが起こりやすくなります。

いずれも温度と湿度を要因とする症状のため、天気予報を確認し、昼間20~25℃、夜間10~15℃となるように管理しましょう。

 

特に、ハウスやトンネルでは加湿と高温に注意し、こまめに換気してください。

苗立枯病やムレ苗は、症状が軽微な場合は、田植をすることによって回復することがあるので、田植が可能な場合はすみやかに行ってください。

育苗期間が長く(1ヶ月以上)、苗の色が全体的に黄色っぽくなった場合は、肥切れの可能性があります。

その際は、苗箱1枚あたり窒素成分で0.5g(硫安の場合は約2.5g)を0.5リットルの水に溶かして灌水します。

 

2 田植え前後のポイント

田植前の耕うんは、深さ15cmを目標に、田面や耕盤が凸凹にならないように丁寧に行いましょう。

耕深が浅いと、基肥が表層で混和されることにより、生育途中で肥料切れを起こす危険性があるため注意してください。

代かきは均平に注意し、ほ場へ十分に水が回りきっている状態で2回程度、水深0~2cmで行いましょう。

均平が不良だと、生育ムラの原因になるだけでなく、雑草が多発する原因となります。

代かき後、2~5日は水を張ったままとし、その後、移植しましょう。

 

移植時の植え付け株数は、坪当たり60~50株(30cm×18~22cm)が収量・品質面で安定しています。

極端な疎植は、不良気象の際に穂数不足となる他、密植の場合は品質低下につながる恐れがあるため注意してください。

植え付け本数は、2~4本、植え付けの深さは2~3cmを目安としてください。

苗の本数が多すぎると、いもち病や紋枯病多発の原因となります。

また、植え付けが深すぎると穂数確保が困難となり、収量低下につながります。

 

移植後は活着するまで5~10cm程度の深水管理を行いましょう。

活着後も深水管理を続けていると発根や分けつへ影響を及ぼすため、活着したら2~3cmの浅水管理としましょう。(彩のきずなは分けつを抑えるため、深水にする場合があります。)

田植え後気温や日射が強い場合も、田植え後は直ちに入水し、地温の確保を図りましょう。

 

3 箱施用剤による病害虫防除

移植前に専用の薬剤を育苗箱に施用することで、病害虫を抑える効果があります。

長い残効性に優れていることに加え、幅広い時期での処理が可能なため、薬剤散布の省力化にもつながります。

ただし、適用病害虫の範囲が広い反面、薬剤に複数の成分が含まれているため、使用時期・使用方法・使用量を誤らないよう必ず確認しましょう。

 

4 雑草防除

雑草の種は水があれば活動し始め、気温が高い日が続くと急激に生長し、収量へ影響を与えます。

防除においては、ほ場内で最も生育が進んでいる雑草を基準に、防除適期を逃さないようにしましょう。

効果を高める工夫として、ほ場を均平に整えるほか、除草剤の施用後は湛水維持により田面を露出させないようにしましょう。

水管理が不適切な場合は、十分な効果が得られないため注意してください。

 

除草剤を散布する際は、ほ場の水の出入りを止め、湛水状態とし、散布後3~4日間は湛水状態を維持し、散布後7日間は落水・かけ流しを行わないよう管理してください。

散布時の水深に関しては、剤型により異なるので注意する他、多量の降雨が予想される場合は、除草剤の効果が低下する恐れがあるので、気象情報をこまめに確認しタイミングを決めましょう。

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【注釈】

掲載している農薬の使い方(農薬使用基準)は、農林水産省が公開している記事掲載時点での農薬登録情報等と基に作成しました。
農薬使用の際は、下記に注意してください。

  • 登録内容に変更がないか、必ず最新情報を確認する。
  • 使用の際は、ラベルの注意事項を必ず確認し、適切に使用する。
  • 農薬使用基準は、農薬取締法に基づき、作物ごとに該当する農薬の使用方法、使用時期、回数などについて使用者が守るべき基準です。
    また、同一成分を含有する農薬を併用する場合は、成分の総使用回数に従う。