小麦「さとのそら」の栽培ポイント

小麦「さとのそら」の栽培ポイント

埼玉県の小麦は、「農林61号」と同等の品質を有し、栽培性に優れた新品種「さとのそら」への品種転換が図られ、本年で3年目となります。播種時期、施肥、雑草防除、適期収穫等、過去3年間の反省を生かし、昨年を上回る品質・収量を目指しましょう。

1 「さとのそら」の特徴

農林61号に比べて、次のような特徴があります。

○出芽~茎立ちまでの生育が穏やかで、茎立ちが遅い。
○出穂期、成熟期は2~3日程度早い。
○穂数が多く、多収(1割程度)。
○稈長は10cm程度短く、耐倒伏性に優れる。
○千粒重はやや優れ、容積重は同程度である。
○縞萎縮病抵抗性は強、赤かび病抵抗性は中、うどんこ病抵抗性は強、赤さび病抵抗性は中である。

※赤かび病抵抗性は中程度ですので、適期防除を徹底しましょう。適期は出穂期(全茎の40~50%が出穂した日)から7~10日後(開花期)です。

図1 さとのそら栽培歴
201510-1

2 栽 培

(1)播種前作業

~発芽を良くし、 除草剤を上手に効かせるために!!~
○土づくり
堆きゅう肥、稲わら等を施用し、地力維持に努めます。(堆きゅう肥を施用する場合は1t/10aを目安とする。)
○耕耘・整地
土壌水分の多い時は、粗起こしを行い土の乾燥を早め、乾いたら丁寧に砕土、整地します。砕土率が低いと苗立率の低下や除草剤の効果が劣り、薬害も発生しやすくなります。

(2)施  肥

~肥料を良く吸収する品種なので基肥量を増やし、適期追肥することがポイント!!~
○基  肥
目安は窒素成分で8kg/10aです。
○追  肥
出穂2週間前の4月上旬に窒素成分で4kg/10aを基本としますが、4月上旬は茎立ち後であるため、追肥作業が困難な場合は茎立ち直前(3月上中旬)に窒素成分で3~4kg/10aの追肥とします。
○一発施肥
緩効性肥料を用いた一発施肥では基肥を窒素成分で10~12kg/10aを目安とします。なお、追肥時期の生育を見て、肥料切れを起こしている場合は追肥をします。

※性質上、「さとのそら」は「農林61号」に比べ、分げつが多く、窒素の吸収量が多いため、肥料切れを起こしやすい品種です。色落ちが見られた場合は早期に追肥を行うようにしましょう。

(3)播  種

~適期(11月中)に適正播種量を播種し、苗立ち数は100~150本/㎡を目標に!!~
○播種時期
早すぎる播種は過繁茂→凋落型の生育になりやすく、遅い播種は分げつの遅れから穂数が減少する、弱小穂が多くなりやすい等、収量および品質に悪影響を与えます。必ず11月中に播種するよう心掛けましょう。

※昨年12月播きでは、低温、乾燥により発芽が1月播きと同時期になってしまったほ場が見受けられました。

○播種量
目安は5~7kg/10aです。「さとのそら」は「農林61号」に比べ、分げつを確保しやすい品種のため「農林61号」よりも少なくします。過剰な苗立ちは過繁茂→凋落型の生育になりやすく、収量、品質に悪影響を与えるので播き過ぎに注意しましょう。ただし、播種時期が遅くなってしまった場合は分げつの確保が困難となってしまうため、播種量を多くすることで対応するようにしましょう。
○播種深度
発芽、分げつを確保するために2~3cmを厳守します。深播きは初期分げつの抑制など生育に著しい悪影響を与えます。

(4)明きょの設置

~発芽不良や刈遅れを防ぐため、排水対策をしよう!!~
発芽不良や湿害、刈り取り作業の遅れを防ぐためには、降雨後の表面水の速やかな排出が重要です。このため、ほ場を均平にし、必ずほ場周囲及びほ場内5~10m間隔で排水溝を作ります。播種後、麦の茎立ち前までであれば、明きょ設置作業が可能であるので、作業の都合で播種直後の作業が無理な場合でも、その後できるだけ早く設置するようにします。

(5)踏 圧

麦が3葉期を過ぎたら実施します。2週間以上の間隔をあけて、3回以上の実施が望まれます。特に早播や暖冬年では踏圧回数を増やします。

(6)雑草防除

~3月上旬にかけて適期防除の徹底を~
播種後土壌処理:播種前にロロックス等の土壌処理剤で雑草の発芽を抑えます。
茎葉処理:雑草を早期発見し、適期にアクチノール、ハーモニー等の茎葉処理剤で枯らします。

表1 小麦に登録のある除草剤
201510-2

(7)収 穫

~適期(穂がわん曲し始めた頃)に収穫しよう!!~
「さとのそら」の収穫適期は、穂がわん曲し始めた頃で、成熟期(穂軸や粒は緑色が抜け、粒にはツメ跡がわずかにつく)後3~4日程度です。成熟期は、「農林61号」と比べ、1~3日程度早く、出穂期後48日程度ですので早めの準備を心掛けましょう。また、収穫する際は朝露が乾いてから作業を始めるようにするとともに、天気予報等を参考に計画的に収穫を行うようにしましょう。

※平成27年産は、5月の高温により熟期が早まり(一部に枯れ熟れ)、刈遅れのほ場が多くみられました。刈遅れると茎が折れやすくなり、コンバインによる収穫作業が困難になってしまいます。また小麦の重要な品質構成要素である「容積重」に大きく影響し、品質を悪化させますので、来年産は適期収穫を心がけるようにしましょう。

★農薬散布をする場合は、散布方法等を各薬剤のラベル等で確認し、飛散に注意して安全使用に努めましょう。

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【注釈】

掲載している農薬の使い方(農薬使用基準)は、農林水産省が公開している記事掲載時点での農薬登録情報等と基に作成しました。
農薬使用の際は、下記に注意してください。

  • 登録内容に変更がないか、必ず最新情報を確認する。
  • 使用の際は、ラベルの注意事項を必ず確認し、適切に使用する。
  • 農薬使用基準は、農薬取締法に基づき、作物ごとに該当する農薬の使用方法、使用時期、回数などについて使用者が守るべき基準です。
    また、同一成分を含有する農薬を併用する場合は、成分の総使用回数に従う。