いちじくの栽培について

いちじくの栽培について

最近、比企郡市でも川島町を中心にいちじくの栽培者や栽培希望者が増えてきています。そこで、今回は最も一般的な品種、桝井ドーフィンの一文字仕立てについて、植付けから1年後までの管理の基本を紹介します。

1 ほ場の準備

いちじくの栽培にあたっては、日当たりが良く、風が強くあたらないほ場で、過去にいちじく栽培経験のない無病の土地を基本とします。また、排水の悪いほ場や乾燥しやすいほ場は避けます(必要に応じて灌水できるほ場であれば後々有利です)。
植付けの1ヶ月前くらいに苦土石灰や完熟堆肥を施用し、深く耕耘しておきましょう。土壌は弱酸性~中性であれば良く、また、植付け1年目に徒長すると冬に寒害を受けやすくなりますので、1年目の肥料は控えめにします(野菜跡地などでは無肥料にします)。
畝は果実への日当たりを考慮して南北方向を基本とし、豪雨時に全面冠水しないように高めに畝立てしておきます。

2 植付け

植付けは寒さによる影響を避けるため、3月上旬~中旬頃を目安とします。
苗木の根より一回り大きな穴を掘り、中心に支柱を立てます。植付け後の苗木が風で動かないようにすることが重要で、支柱は穴の底からさらに30cmくらいは深く土中に挿します。苗木は支柱の東~南側に配置し、最上根が南側に来るようにして埋め戻します。
苗木は、地際から高さ30cm程度の芽のすぐ上で切り戻し、切り口に癒合促進剤を塗ります。また、地際近くと切り戻し位置よりやや下の2カ所をヒモで8の字に結束し支柱に固定しておきましょう。【図1】

【図1】

植付け

植付けは、畝間2.5m×株間6m程度を基本とします。植付けたら土を整え、えん堤を作り1株当たり約30L灌水しておきましょう。また、その後も土壌が乾燥するようなら適時灌水しましょう。

3 枝管理

植付け後、苗木からは複数の芽がでてきますが、5月中旬頃に力のそろった主枝候補2本を残し、他は全て取り除きます。
 5月下旬~6月上旬頃を目安に残してある2本の芽(以下主枝候補枝と表記)を20cm程度の水平部分を確保してその先を約45度の角度で斜め上方へ誘引します(ここでは、新たに約2mの支柱が1株につき2本必要になります)。【図2】

【図2】

枝管理

その後は、主枝候補枝の伸長に合わせて、こまめに支柱に誘引し、この枝の先端は摘芯しないようにします。また、主枝候補枝には果実やわき芽がつきますが、1年目ではこれらは全て取り除き主枝候補枝の伸長を優先させます。(主枝候補枝とこれにつく葉だけの状態になります)

4 防寒対策

いちじくは比較的寒さに弱いことから、冬場の防寒は重要です。特に植付け1年目の幼木は寒さで枯死することもあり、防寒対策が不可欠です。防寒対策としては、12月~3月にかけて稲ワラを幹及び主枝候補枝に約5cmの厚さで巻き付ける方法が一般的です。【図3】

【図3】

防寒対策

ただし、防寒しても、冬場の冷え込み程度や、株・ほ場の条件によっては、株が枯死してしまうこともあります。なお、防寒が適切に行われ順調に推移しても、主枝候補枝の先端部分(全長の3分の1程度)は枯れ戻るのが普通ですが、この部分は翌春切り戻しますので問題ありません。

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【注釈】

掲載している農薬の使い方(農薬使用基準)は、農林水産省が公開している記事掲載時点での農薬登録情報等と基に作成しました。
農薬使用の際は、下記に注意してください。

  • 登録内容に変更がないか、必ず最新情報を確認する。
  • 使用の際は、ラベルの注意事項を必ず確認し、適切に使用する。
  • 農薬使用基準は、農薬取締法に基づき、作物ごとに該当する農薬の使用方法、使用時期、回数などについて使用者が守るべき基準です。
    また、同一成分を含有する農薬を併用する場合は、成分の総使用回数に従う。