暖候期のいちご栽培管理と親株管理について

暖候期のいちご栽培管理と親株管理について

東松山農林振興センター

 

令3月は、1月の約1.6倍の日射量となり、日照時間も長くなるため、ハウス内の気温が高温になりやすい時期です(図参照)。

気温が高くなると、急激に株が伸びて徒長したり、果実の着色が早く進むため、小玉化や過熟、糖度不足などにより果実品質が低下します。

次の内容を参考に、果実品質の向上に努めましょう。

 

また、次作に向けて親株の管理を行いましょう。


 

1 高温対策

(1)積極的な換気

株の近くに温度計を置き、早めに換気するなど、日中に生育適温25℃を超えないように管理しましょう。

 

①ハウスサイド・天窓の開放

 

②換気扇の設定温度を下げる

 

(2)遮光・遮熱資材の活用

いちごの光合成が最大となる光の強さ(照度)は「2万~3万ルクス」と言われています。

一方、春季の晴天時は「5万ルクス」以上に達します。光の強さ、ハウスの被覆資材、

遮光資材の遮光率を考慮して、過剰な光をカットし、温度上昇を抑制しましょう。

 

①銀・白色遮光シートをハウス内側に張り、10時~15時を目安に展張します。
熱や光を反射する遮熱資材(白色、タイベック入、アルミ蒸着資材など)は、温度上昇をさらに抑制します。

 

②遮光・遮熱資材を開閉できない場合(固定張り)は、遮光率が低いものを選定しましょう。

 

③遮熱塗布材は、ハウスの外部被覆に動力噴霧器等で噴き付け、
光合成に必要な光は通しつつ、赤外線を遮断する資材です。内張カーテンと併用が可能です。

 

2 かん水

気温上昇に伴い蒸散量が増え、必要な水分量が上昇します。少量・多回数で行いましょう。

 

3 ランナーやわき芽、収穫終了後の果梗の除去

栄養分の無駄遣いとなるので、早めに取り除きましょう。

 

4 害虫対策

ハウスの外からアザミウマ類やハダニ類、アブラムシなどの害虫の飛び込みが増加します。

ハウス周辺の除草を行いましょう。防草シートを設置すると除草の省力化になります。

また、害虫の侵入防止には、施設の開口部への防虫ネットの設置も効果的です。

 

5 親株管理

親株定植後、発根量を増やし根張りを良くすることが、

その後のランナーの発生数、子苗への養水分の供給等に影響します。

 

①春に定植する場合は、早めに定植しましょう。
春苗を注文している場合は、入手後すぐに定植できるように準備しておきましょう。

 

②秋に親株を定植した場合は、クラウン部が露出していないか確認し、
クラウン部への土寄せや培土により、発根を促しましょう。
かん水だけでなく、追肥も行いましょう。

 

③ランナーを伸ばすのは、親株定植後1か月以降とし、
親株の育成に努めましょう。1芽で管理し、花房を見つけたら早めに除去しましょう。

 

④手かん水又はかん水チューブを利用し、葉を濡らさないように工夫しましょう。

 

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【注釈】

掲載している農薬の使い方(農薬使用基準)は、農林水産省が公開している記事掲載時点での農薬登録情報等と基に作成しました。
農薬使用の際は、下記に注意してください。

  • 登録内容に変更がないか、必ず最新情報を確認する。
  • 使用の際は、ラベルの注意事項を必ず確認し、適切に使用する。
  • 農薬使用基準は、農薬取締法に基づき、作物ごとに該当する農薬の使用方法、使用時期、回数などについて使用者が守るべき基準です。
    また、同一成分を含有する農薬を併用する場合は、成分の総使用回数に従う。