「ほ場管理と経営システム」

「ほ場管理と経営システム」

比企地域では、平坦な地域から中山間地域まで様々な条件のほ場があり、基盤整備の進んだ地域ばかりでなく、未整備の地域も多く存在します。

水田として活用されているほ場の問題は少ないのですが、畑として野菜や果物を栽培している場所は、進入道路と面していなかったり、小さな区画や法面の面積割合が多かったりして、使い勝手の良さを改善することを最初に考えた方が良い農地も多く存在しています。

一方、各地域に直売所が整備され、直売野菜の栽培も盛んになりました。

野菜の栽培を始めると、一枚の畑の中でも出来の良い場所と、そうでない場所があることに気づきますよね。

その原因は、地力の差に由来しています。

では、その地力について考えてみましょう。

「地力について」

土は作物を育てます。

この、育てる能力を地力と言っています。

地力とは、下の図に示したとおり、①物理的性質、②生物的性質、③化学的性質に分けられます。それぞれの性質を改善して、より良い農産物を育てましょう。

①物理性

最も基本になる性質で、排水性(透水性)、保水性、通気性、表土の厚さ、耕し易さ、周囲からの差し水や豪雨時の浸水しやすさ、風雨での浸食の受けやすさ、礫の量、傾斜の角度などです。

特に気にしたいのは、排水性です。逆に言うと停滞水を気にしなくて良いほ場にすることです。

長年ロータリー耕を行っていると、ほ場の端が高くなりやすいですよね。

四隅は必ずロータリーを下ろすところになるので少しずつ高くなります。

201601
   図1 地力を構成する性質

逆にロータリーを上げる、方向転換する位置が低くなります。

水田では、高い部分に除草剤の効果が及ばないための雑草の発生と低い部分での分けつ不足による穂数の減少があります。

畑では、ほ場が波打ちしてきます。

特に、昨年の長雨の時には、畝間に溜まった水のある部分と溜まらなかった部分では、野菜の出来が大きく違っていました。まして、ほ場の周囲が高くなっているほ場では、地下浸透だけが排水の手段となってしまいますから、表面の排水だけでも改善しましょう。

その上で、堆肥などの有機物投与を行って、土の粒子の隙間を作ってあげましょう。

②生物性

土の中の生き物で思い浮かぶのは、ミミズやオケラ、カエルなど虫や両生類ですね。

手を焼いているのが、キュウリやニンジン、大豆などのセンチュウ類被害です。連作や収穫後の残渣をそのまま耕耘したり、未熟な有機物の投入量が多くなるとセンチュウ類が増加する傾向にあります。

もっとやっかいなのは、カブや白菜のネコブ病やなし園、サツマイモ畑の紋羽病など、色々な野菜や果物において、土壌に基因した病害が発生します。

菌による病害の原因菌は、目で見えないだけに理解しにくいですよね。

土壌中の菌を大まかに分けると、糸状菌とバクテリアに分けられます。(バクテリアの中に放線菌を含めて)

糸状菌とは、イメージとしてカビの菌だと考えてください。

この中の一部の種類が増殖することで殆どの場合の病気が発生する原因となります。

つまり、一種類の菌を増やさないために連作を避けることと熟した堆肥を使うことです。

熟した堆肥とは、ワラや落ち葉を積んで、切り返しながら十分に発熱したものを言います。

糸状菌は熱に弱いものが殆どなので、70℃以上の温度が続いた状態では生きられません。

バクテリアに満ちた堆肥を、ばらまかないで使えたら、もっと効果が高いですが、畝にして施用したりタコツボで施用するのは手間がかかりますよね。

③化学性

化学性というと、養分供給能力のことを総称しています。

作物によって、ブルーベリーのように酸性の好きなものからほうれん草のように中性くらいが好きな作物など色々あります。先ずは、酸度(pH)の調整を考えましょう。

酸度の調整には、石灰(カルシウム)や、苦土(マグネシウム)の資材を用いて行います。

肥料の3要素と言えば、チッソ、リン酸、カリ、のこと。作物ごとに必要量を考えて施用します。

肥料成分を土が抱えておく力を増やしたり、比企郡に多い火山灰土壌のリン酸吸収係数の高い土の改善も熟した堆肥の施用で行えます。

生育に必要な他の必須元素は、イオウ、鉄、ホウ素、亜鉛、銅、マンガン、モリブデン等です。

「経営を考える」

新しい年を迎えて、これからやるべきことは、確定申告の準備でしょう。

昨年の販売と経費、それに控除のデータを加えて去年の所得額が算出されますよね。

税務署に提出する書類ができあがったら、そのデータを基に、自分の経営改善について、アドバイスをもらいたくなりませんか。

そんなときに役立つように、農林水産省があなたの経営のアドバイスをしてくれるシステムを準備しています。

当然、無料ですので気軽に使ってみてください。

このシステムに毎年データを入れていくと、自分の経営の経年変化を見ることもできて、頑張ってる状況をグラフで確認することもできますから。

本当は、認定農業者のために整備されたシステムですが、農業者なら誰でも利用することができますから、インターネットが使える環境にある方は、ぜひ利用してみてください。

農林水産省のホームページから入っても良いのですが、「新たな農業経営指標」と検索すると、そのページの中頃に青い枠で囲まれた「経営改善実践システム」(こちらをクリックしてください!)という大きなボタンがありますからクリックしてシステムに入ってください。

システムに入ると、いきなりログインIDとパスワードを聞いてきますが、その下に、「新規利用者登録はこちらをクリック」と書いてある部分をクリックしてください。

そうすると、個人情報を守るためのパスワードを2回入れます。やっかいなのは、数字だけでなく、英字と記号を含めないと、パスワードを受付ないことですが、後は、自分のデータを入れて見てください。

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【注釈】

掲載している農薬の使い方(農薬使用基準)は、農林水産省が公開している記事掲載時点での農薬登録情報等と基に作成しました。
農薬使用の際は、下記に注意してください。

  • 登録内容に変更がないか、必ず最新情報を確認する。
  • 使用の際は、ラベルの注意事項を必ず確認し、適切に使用する。
  • 農薬使用基準は、農薬取締法に基づき、作物ごとに該当する農薬の使用方法、使用時期、回数などについて使用者が守るべき基準です。
    また、同一成分を含有する農薬を併用する場合は、成分の総使用回数に従う。