春野菜の作付け準備

春野菜の作付け準備

春野菜は、低温条件下で種まきや植え付けが行われます。凍霜害などの気象災害を受けやすい時期でもあり、発芽や活着、生育に支障をきたす場合が少なくありません。
気象庁発表の3ヶ月予報(1月~3月:関東地方)によれば今年も暖冬傾向が予想されていますが、不測の気象変動に対応したきめ細かい管理に努めたいものです。
そこで、下記の基本的な管理作業等を行い作付け準備を行いましょう。

1 土づくり

野菜畑の土づくりは、(1)根張りを良くするための土壌物理性の改善、(2)根を活性化するための微生物相の改善、(3)作物の生育を促すための養分供給の適正化、の3点を念頭に置いて実施します。
作付け前に土壌診断を行い、堆肥等の有機質資材投入により土壌改善を図るとともに、施肥量を適正にすることが大切です。

(1)家畜ふんの特性

家畜ふんの特性は、その種類によって大きく異なります。
牛ふんは、分解が緩やかで、肥効も緩効的ですが、養分含有量は少なく、有機物が土壌中に残ります。
鶏ふんは、分解が早く、比較的速効性です。また、養分含有率が高い上、土壌中に有機物があまり残らないので、有機質肥料と考えるのが妥当です。
豚ぷんは、鶏ふんと牛ふんの中間的な性質を示しますが、養分含有量が比較的多いので有機質肥料に近いものとして扱うべきです。家畜ふんの施用基準量は、【表1】を参考にしてください。なお、充分に腐熟させてから施用することが必要です。

【表1】堆肥等の標準的な施用量(単位:t/10a)
作物 黒ボク土(火山灰土) 非黒ボク土
稲わら堆肥 牛ふん堆肥 豚ぷん堆肥 稲わら堆肥 牛ふん堆肥 豚ぷん堆肥
水稲 1 0.3 0.15 1 0.3 0.15
一般畑作物 4 2.5 1.5 1.5 1 0.5
野菜 4 2.5 1.5 2.5 1 0.5
果樹 2.5 1.5 1 2 1 0.3

(農林水産省2008)

(2)堆きゅう肥を施用した場合の施肥量

堆肥の有効成分量【表2】は、種類によって異なりますので、これを目安に減肥します。
窒素施用量の30~60%(牛ふん:30%、豚ぷん・鶏ふん:60%)を家畜ふんや堆きゅう肥で施用し、残りは化学肥料や有機質肥料で施用するのが無難です。

【表2】家畜ふん堆肥の有効成分量(%)
処理形態 畜種 含水率 窒素 りん酸 カリ
堆肥化物 牛ふん 50 0.22 0.87 1.31
豚ぷん 29 1.35 3.53 1.92
鶏ふん 20 1.69 4.10 2.82

2 は種・定植

春野菜は、急な寒波による低温障害や抽苔による品質低下が問題になります。作付けに当たっては、作型や地域の気象条件に応じたは種期・定植期を守り、早まき・早植えを避けることが大切です。

3 簡易被覆資材

低温期の露地野菜栽培では、トンネルやマルチ等を活用しましょう。これらの資材を組み合わせ、地温の確保や凍霜害防止を行い高品質・安定生産を行いましょう。特に、寒波の襲来や晩霜に対しては、べたがけ資材を活用すると被害が軽減できます。

(1)種類

ア マルチ

地温の上昇、雑草防除、水分保持、肥料養分の流亡防止、土の跳ね上がりによる病害の発生防止等が目的です。
上手に張るポイントは、土壌水分がある無風の晴天日を選び、できるだけ気温の高い時間帯に、ベットを丁寧にならして土とマルチを密着させる(バタツキがあるとマルチ効果が落ちるほか、作物に障害を与えることがある)ことです。

マルチの種類 地温に対する影響
透明マルチ 地温上昇効果 大
グリーンマルチ    〃   中
黒マルチ    〃  中~小
白黒ダブルマルチ 地温抑制
シルバーマルチ    〃   
イ トンネル・べたがけ

保温による作期の拡大、風よけが目的で、その他の効果もねらえます。

塩化ビニール、ポリフィルム 保温性大(換気が必要)
換気フィルム(ユーラックカンキ等) 保温性大(換気が不要)
不織布(パオパオ、パスライト等) 保温(換気が不要)
寒冷紗  害虫の侵入防止
寒冷紗  遮光、気温上昇抑制、害虫の侵入防止

(2)使用方法

マルチ栽培、べたがけ栽培、トンネル栽培の順に地温上昇及び保温効果が高まって生育は安定しますが、経費は高くなります。被覆資材を上手に活用しましょう。

春野菜の作付け

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【注釈】

掲載している農薬の使い方(農薬使用基準)は、農林水産省が公開している記事掲載時点での農薬登録情報等と基に作成しました。
農薬使用の際は、下記に注意してください。

  • 登録内容に変更がないか、必ず最新情報を確認する。
  • 使用の際は、ラベルの注意事項を必ず確認し、適切に使用する。
  • 農薬使用基準は、農薬取締法に基づき、作物ごとに該当する農薬の使用方法、使用時期、回数などについて使用者が守るべき基準です。
    また、同一成分を含有する農薬を併用する場合は、成分の総使用回数に従う。