GAPに取組み、より良い農業経営を!

GAPに取組み、より良い農業経営を!

GAPとは?

先月号の特集でS―GAP(エス―ギャップ)について紹介しました。今回はどのように取り組んでいけばいいか、見ていきましょう。

GAPとは、「よい 農業のやり方」という意味で、「農業生産工程管理」のことです。

生産工程管理…?難しそうな取組に聞こえるかもしれませんが「農産物の安全を確保し、より良い農業経営を実現する取組」ということで、食べる人や作る人の安全と生活環境の安全に配慮しようというものです。

普段の作業や経営管理に潜んでいるリスクや課題を見つけ、安全のために欠けているところがあれば、この機会に見直しをし、効率的な生産環境を構築していきましょう。

 

GAPは「結果」ではなく「工程」を管理

 

「出荷時の抜き取りチェック」これは販売前の仕上がった生産物が販売できるかどうかを確認する結果のチェックです。

これに対しGAPは「栽培工程ごとの問題点に対する確認チェック」です。各工程に危険がないかをチェックし、危険がある場合はその問題に対して対策を立て、危険を回避できるようにします。また、事故が起こった場合を想定し、対策を取っておきます。

 

 

これらの工程管理を生産者自らが実施し、安全を確保することが大切です。

 

 

GAPは日常的な取組

GAPは日頃行っている「整理整頓」や「生産履歴」の記帳が基本です。これを行うことにより、次のようなメリットが生まれます。

 

整理整頓されている現場
  • 必要なものがすぐに見つかる
  • 農機具を安全に管理できる
作業手順がルール化されている
  • 誰もが同じ手順で無駄なく作業ができる
事故が起きた時対策がある
  • 事前に対策が準備されていればパニックにならない
  • 迅速に対応できる

 

ここに書いたことは一例です。メリットを増やすためにも、日常の取組一つ一つを継続して行いましょう。これがGAPです。

 

 

GAPに取り組みましょう!

GAPの生産工程管理は次の①から④の繰り返しです。

①計画

農作業のやり方等のルールづくり(問題点への対応策等)

②実践・記録

ルール通りに実践し、記録する

③点検・評価

記録を点検する

④見直し・改善

改善点を次作に生かす

 

①の計画を立てる際の手助けとして、埼玉県ではS―GAPガイドブック(埼玉県農業生産安全確認運動)を作成しています。この中で、日ごろ行うべき40~50個程度の作業項目と達成水準が記されています。ガイドブックの項目を参考に、ご自分の経営の問題点がどこにあるか確認し、どのように改善したらよいかを考え、実行してください。

改善策は一つとは限りません。各家の状況に合わせ、改善策を見つけましょう。

 

 

 

GAPの取組の例

〇作業小屋の整理

農機具や資材が整理整頓されていると、探し物がすぐに見つかり、作業時間のロスが防げます。また、紛失した物がすぐわかるので、調製物に異物として混入していたとしてもすぐ気づくことができます。

作業小屋の片付け方のルール(どこにどう片付けるか)づくりを行いましょう。

○農薬を適正に管理

毒劇物は他の資材と分け、鍵のかかる保管庫に表示をして保管します。液状の農薬は棚の下段に置き、流出防止にバットを敷きましょう。こぼれたときのために、清掃用具を置くことも大切です。

○資材管理

資材の在庫が誰にでもわかるように、資材の利用簿(在庫管理表)を作りましょう。今何がどのくらい在庫としてあるかを明確にしておくと、重複購入が避けられ、経済的にも無駄を省けます。

○作業前やトイレの後等、必要に応じて手洗いを行う

農業は食品産業です。生食する農産物の出荷・調製作業等、衛生管理を特に要求される作業では手洗いの徹底に心がけましょう。アルコール消毒等の手段も有効です。

○危険を伴う作業を把握し、事故回避等の訓練などを行う

農作業の安全を確保するため、作業工程上の危険ポイントを把握しましょう。危険ポイントは各家によって違います。各家の作業工程をふり返り、危険箇所があればどうすれば回避ができるか、対策をとっておきましょう。また、もし事故が起きたら、という時の措置(連絡先などをリスト化し、掲示等)を明確にしておくと、対応がとりやすくなります。

○農作業で出たゴミの処分

廃棄物の処理は、地域のルールや法令を守って処理をするようにしましょう。日頃からゴミの分別をしっかりし、それぞれのルールに則った廃棄に心がけてください。

ここに挙げたことは、一例です。気になることがあった方、この程度ならやっていると思われる方、ぜひS―GAPガイドブックをチェックしてみましょう。全項目で対策が立てられた方は、埼玉県で行っている「GAPの取組に対する農場評価」を受けてみてください。全項目で適となると「S―GAP実践農場」となり、評価書やのぼり旗が交付されます。

GAPは自分自身のための取組です。日頃の作業をふり返り、安全な農業経営を行いましょう。

 

 

GAPの取り組み方、農場評価等の詳しい情報については東松山農林振興センターまでお問い合わせください。

TEL 0493-23-8582

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【注釈】

掲載している農薬の使い方(農薬使用基準)は、農林水産省が公開している記事掲載時点での農薬登録情報等と基に作成しました。
農薬使用の際は、下記に注意してください。

  • 登録内容に変更がないか、必ず最新情報を確認する。
  • 使用の際は、ラベルの注意事項を必ず確認し、適切に使用する。
  • 農薬使用基準は、農薬取締法に基づき、作物ごとに該当する農薬の使用方法、使用時期、回数などについて使用者が守るべき基準です。
    また、同一成分を含有する農薬を併用する場合は、成分の総使用回数に従う。