秋冬野菜の栽培について

秋冬野菜の栽培について

いよいよ秋冬野菜作付けの季節となってきました。播種・育苗・生育初期の防除は、作柄に大きな影響を及ぼします。

ほ場の準備を早めに行うとともに、作目・品種に合わせた管理を行い、良品生産に努めましょう。

1 ほ場の準備

(1) 堆肥の施用

堆肥施用は、①保肥力や保水力に優れ、②微生物が豊富で土壌病害の発生を抑制し、環境の変化に強い、土づくりの基本となります。

播種や定植の一月前までに、完熟した良質な堆肥を施用しましょう。ただし、ダイコンやニンジンなどには前作の前に施用します。

(2) 基肥の施用

基肥は土壌診断に基づき適正な量を、播種や定植の2週間前を目安に施肥しましょう。

施肥量は、各種栽培資料や埼玉県主要農産物施肥基準を参考にします。

表1 野菜類の施肥前EC値による基肥(N,K)施肥量の目安
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(3) 太陽熱土壌消毒

今年の夏はラニーニャの影響により猛暑で、9月まで暑さが続くと予想されています。

通常梅雨明けから1か月程度が適期となりますが、猛暑を逆手とって実施してみてはいかがでしょう。

太陽熱土壌消毒の実施により、①土壌病害虫の低減、②雑草の発生抑制等の効果が期待できます。

手順は、①堆肥・基肥施用を慣行と同様に行う。②畝を立てるなど、播種や定植できる準備をする。③植付を行う部分を、透明のマルチなどで被覆する。(水分を含んでいる方が効果が高い。)④播種・定植の直前に被覆を剝がし、できるだけ土を動かさずに播種・定植を行う。

太陽熱土壌消毒は、太陽の熱を利用し、土壌表面部の温度を上昇させ効果を得るものですので、できるだけ長く被覆を行い温度を高く保ち、被覆除去後は表面の土壌を動かさないようにすることがポイントとなります。

2 播種

(1) 種子の用意

種子は信用のできる農協や種苗店で購入します。

種子の寿命には長短があり、①毎年種子の更新が望ましいもの。ネギ、タマネギ、ニンジン、インゲン、ラッカセイなど。②保存状態が良ければ翌年も使用できるもの。キャベツ、はくさい、かぶ、だいこん、レタスなど。がありますが、保存状態によっては発芽率が大きく低下します。

(2) 播種時の粒剤施用

本ぽへの播種時に、粒剤を施用することにより初期の害虫防除効果が期待できます。

また、播種後すぐに防虫ネットで覆い、チョウ目害虫の被害を低減させましょう。

表2 播種時に使用できる薬剤例 (H28.7.31現在)
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3 セルトレイによる苗づくり

はくさいやブロッコリー、のらぼう菜などはセルトレイ育苗により根鉢が形成され、定植作業が容易になります。

(1) 手順は①水稲の育苗箱などの上にセルトレイを置き、育苗培土を詰めます。128穴のセルトレイに必要な培土の量は約4リットルです。②十分に灌水し培土を湿らせるとともに、落ち着かせます。(この時、培土の高さは、覆土をするためトレイの上面より低くします。)③1穴に1粒ずつ種を播き(深さはトレイ上面から1cm程度)、覆土し新聞紙で被覆し、発芽が確認できるまで、直射日光の当たらない風通しの良いところに置きます。④発芽が7割程度確認できたら、夕方に新聞紙の被覆を剝がし、根鉢を形成させるためコンテナやベンチなどで地面から離して育苗します。この時、防虫ネットで被覆することにより、苗の食害を防ぎます。⑤培土の水分量が多すぎると徒長の原因となるので、灌水は午前中に行い、夕方には表面が乾いて、葉が軽く萎れている程度にします。夕方の灌水は徒長の原因になるため、苗の萎れが激しい時のみ軽く葉水をします。⑥苗の本葉3.5枚程度で根鉢が形成されていれば、定植適期となります。⑦育苗期後半~定植当日に表3の薬剤を施用することにより、定植後3~4週間対象害虫の防除効果が期待できます。

表3 育苗期後半のセルトレイ等への施用できる薬剤例 (H28.7.31現在)
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農薬はラベルを確認し、適正に使用してください。

ヨトウムシ
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適正な管理で安全安心な良品生産を心がけましょう。

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【注釈】

掲載している農薬の使い方(農薬使用基準)は、農林水産省が公開している記事掲載時点での農薬登録情報等と基に作成しました。
農薬使用の際は、下記に注意してください。

  • 登録内容に変更がないか、必ず最新情報を確認する。
  • 使用の際は、ラベルの注意事項を必ず確認し、適切に使用する。
  • 農薬使用基準は、農薬取締法に基づき、作物ごとに該当する農薬の使用方法、使用時期、回数などについて使用者が守るべき基準です。
    また、同一成分を含有する農薬を併用する場合は、成分の総使用回数に従う。