次年度に向けた土作りについて

次年度に向けた土作りについて

板木技術士事務所●板木利隆

次年度に向けた土作り

本格的な冬を迎え、家庭菜園は越冬野菜だけとなり、冬の休閑期に入り、空き畑が多くなります。この機会を捉え、しっかりと土作りし、次年度に備えましょう。

野菜の根が健全に伸びるためには、(1) 水はけと通気性が良いこと、(2)水持ち(保水力)が良いことが重要な条件となります。

土には、細粒の粘土と粗粒の砂の割合が異なる単粒構造と団粒構造があり、団粒構造にすると孔隙率(こうげきりつ)が高く、空気や水を適度に含み根がよく伸びますが、その状態も数年間野菜を作り続けると、次第に痩せて単粒構造となり、根があまり伸びなくなってしまいます。

土を団粒構造にするのには、良い粗大有機物の堆肥や緑肥、ピートモス、ココピートなどを十分に施し深く耕すことが必要です。

根が深く広く張るためには深層まで条件を整えることが大切ですが、その目安として、直径8~9mmの棒を畑土に差したとき、あまり力を加えずに入る作土層が20cm以上あることです。力いっぱいに差し込んで測る有効土層が60cm以上あれば申し分ありません。一般にはこれでも不十分なことも多いですが、深耕することによりここまで改善することができます。

畑起こし、粗大有機物を入れる時期は寒冷の冬が一番です。それは他の作業が暇で、畑が空いているだけではなく、掘り起こした下層の土を上面に出し、厳しい寒気にさらし風化させることにより、物理性が改善され、病原菌や害虫、雑草の種子を死滅、軽減する効果が大きく発揮されるからです。

作業の手順は、前作の残りかすや病害虫の被害株、残根などをきれいに取り除き、堆肥などの粗大有機物を畑全面にばらまいてから耕します。60cm以上も深耕する場合には先に畑起こししてから、次の耕うん時に粗大有機物を施すのが良法です。

耕した畑土はなるべく表面に凹凸があるままにしておき、寒気に触れる面を大きくします。

土壌の酸性度も冬の間に調べ、pH6.0~6.5程度に調整しておくことが大切です。酸性を改良する消石灰の施用量は、砂質あるいは腐植の少ない土壌では少なくて、黒ぼく土では多くを要するので、施用量を誤らないよう注意しましょう。毎年むやみに与え過ぎると弊害を生じる恐れがあります。

※関東南部以西の平たん地を基準に記事を作成しています。

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【注釈】

掲載している農薬の使い方(農薬使用基準)は、農林水産省が公開している記事掲載時点での農薬登録情報等と基に作成しました。
農薬使用の際は、下記に注意してください。

  • 登録内容に変更がないか、必ず最新情報を確認する。
  • 使用の際は、ラベルの注意事項を必ず確認し、適切に使用する。
  • 農薬使用基準は、農薬取締法に基づき、作物ごとに該当する農薬の使用方法、使用時期、回数などについて使用者が守るべき基準です。
    また、同一成分を含有する農薬を併用する場合は、成分の総使用回数に従う。