なし花粉の自家採取を実施しましょう
なし花粉の自家採取を実施しましょう
東松山農林振興センター
令和5年の中国における「火傷病」の発生を受け、現在も中国産花粉の輸入が停止されています。着果数を確保し安定生産を行うためには、引き続き自家採取による花粉の確保が必要です。
1 花粉採取の方法
花粉採取には、大きく分けて3つの方法があります。

この中で、方法①は花粉の不足量が比較的大きい生産者にとって、効率的な確保が可能と考えられます。
方法①で花粉を採取する場合、枝の採取時期は自然開花の2週間前が目安です。自然開花に近いほど花粉の質や量がよくなります。
また、天候の影響により花粉の採取量が変動する可能性があるため、枝は余裕を持って確保しておきましょう。
【具体的な手順】
- ①採花
- 採花する花は、明日にも咲きそうな、風船状の花が最適である。採取後、採葯機にかけるまでの間に容器内などで蒸れると開葯してしまう恐れがあるため、採花後は直ちに採葯機にかける。
- ②採葯
- 採葯機に花を入れるときは片手で握れる量を限度に少量ずつ入れる。長時間機械にかけると花梗と花糸が多く混入し、開葯に時間がかかってしまう。開葯後はふるいにかけて花びらや不純物を取り除く。
- ③開葯
- 葯が重ならないようにトレーや厚紙に薄く広げて開葯させる。開葯器内の温度は20~25度が適切で、時々、葯が開いて花粉が出ているか確認しながら、15~20時間かけて開葯させる。
2 品種の決定
なしは自家和合性であり、自らの花粉では結実しません。また、異なる品種の花粉を使用しても、品種の組み合わせによっては、S遺伝子の型が同じために結実できない場合があります。例えば、「豊水」と「彩玉」は同じ遺伝子型のため不和合性を示し、互いに受粉に使用することができません。
表を参考に、受粉可能な品種の組み合わせを確認し、花粉を採取する品種を決定しましょう。
【花粉採取用品種について】
花粉採取用の品種には、「長十郎」「新興」「松島」等が特に適しています。一方で、採取や受粉に適さない品種もあるので注意してください。例えば、「南水」は花粉量が少ないため、受粉樹として使用できません。また、「新高」の花粉は不完全で量が少ないため受粉に適しません。
3 確保量の目安
10aあたりの受粉に必要な純花粉量の目安は40gです。
以前に購入していた花粉量などを参考に、必要な花粉量を予め把握するようにしましょう。自家採取による粗花粉を利用する場合、さらに多くの量が必要となります。
また、当面の間は花粉を自家採取する必要があるため、なるべく多くの花粉を採取し、来年度使用する分も貯蔵できるようにしましょう。

【花粉の保存方法】
①使いやすい量に小分けした花粉を薬包紙などに包む。
②シリカゲルを入れた茶筒やタッパーなど密閉できる容器に入れる。
③冷蔵庫に保管する。
⚠何度も冷凍・解凍を繰り返すと花粉の品質が落ちてしまいます。品質を保つためにも、花粉は小分けにして保存するようにしましょう。
保存温度はマイナス30℃が理想ですが、家庭用冷蔵庫の冷凍室を使用する場合は容器の口をビニールテープで密封し、冷凍室の奥に入れて温度変化が少ないようにしましょう。
【注釈】
掲載している農薬の使い方(農薬使用基準)は、農林水産省が公開している記事掲載時点での農薬登録情報等と基に作成しました。
農薬使用の際は、下記に注意してください。
- 登録内容に変更がないか、必ず最新情報を確認する。
- 使用の際は、ラベルの注意事項を必ず確認し、適切に使用する。
- 農薬使用基準は、農薬取締法に基づき、作物ごとに該当する農薬の使用方法、使用時期、回数などについて使用者が守るべき基準です。
また、同一成分を含有する農薬を併用する場合は、成分の総使用回数に従う。
