暑さに強い米づくりを目指して~田植えに向けた対策のポイント~
暑さに強い米づくりを目指して~田植えに向けた対策のポイント~
東松山農林振興センター
令和7年の6~8月は、熊谷地方気象台の観測史上1位となる記録的な高温であり、白未熟粒の発生が多く見られました。
今後も同様の高温が見込まれます。そこで、田植えまでに出来る高温対策や育苗の基本技術を徹底して、収量・品質を確保しましょう。
1 田植えまでの高温対策のポイント
高温障害の発生は夏季の高温と稲の栄養状態が大きく影響します。
次に示すポイントを複数組み合わせて実施することで、夏季の高温に負けない稲を栽培しましょう。
- (1)高温登熟性が高い品種の利用
- 品種によって同じ条件でも高温への耐性が異なります。高温登熟性が高い「彩のきずな」や「えみほころ」などの品種利用を検討しましょう。
- (2)作付時期の検討
- 移植時期を遅らせることで、出穂期が遅れ、高温下での登熟を回避できます。特に、「彩のかがやき」の場合は6月中旬以降に田植えを行うことが有効です。
- (3)深耕
- 深耕は稲の根張りを良くして、高温や乾燥へのストレスに強くします。深さ15㎝を目標に丁寧に耕うんしましょう。
- (4)土づくり
- 化成肥料由来の窒素のほかに、土壌から供給される窒素も重要です。堆肥等の有機物を積極的に投入して、生育期間中の肥料切れを防ぎましょう。
- (5)一発肥料の活用
- 一発肥料(緩効性肥料)は肥効期間が長く、肥料切れによる葉色低下を招きにくくします。また、高温時の穂肥作業を回避する省力的な手段としても有効です。
- (6)ケイ酸質資材の施用
- 稲の葉や茎が硬く丈夫になり、倒伏しにくくなるとともに、根の活性も向上するために高温障害の軽減が期待できます。
- (7)箱施薬剤による紋枯病発生予防
- 生育期の高温条件で多く見られ、多発すると茎が軟弱になり、収量・品質の低下や倒伏を助長します。
対策として、エバーゴルフォルテ箱粒剤等の紋枯病に対して登録のある防除薬剤を利用した発生予防が省力的で有効です。
2 育苗のポイント
苗の良し悪しは定植後の初期生育や収量に大きく影響します。次のポイントを意識して健苗を育成しましょう。
- (1)浸種
- 種もみに十分吸水させ、発芽を揃えるための重要な作業です。
浸種期間の目安は、水温は15℃で7日、18℃で5日程度です。
浸種期間中は酸欠を防ぎ水温を均一にするために、時々籾ネットを水から引き上げて上下を反転します。 - (2)催芽と播種
- 催芽機や育苗器等を使用し、一晩30℃程度の温度をかけて催芽します。籾全体の9割程度が図1のようなハト胸状態で播種しましょう。

- (3)播種後の温度・水管理
- 播種後は温度と水の管理が非常に大切です。
播種後は表2を参考に、時期に合わせた適切な管理をしましょう。温度計は苗の位置に設置して、温度を確認しましょう。 - ①出芽期(播種後2~3日まで)
覆土から約1㎝程度白い芽が出てくるまで、昼夜30℃の暗黒状態にします。
ア 積み重ねる場合
育苗箱を積み重ねる枚数は、
10~20枚程度が適切です。積み重ねた育苗箱は保温マットやむしろ、ビニール等を使って保温しましょう。
イ 苗代に出す場合
播種後すぐに苗代に出して出芽させる場合は、資材で被覆し温度を確保しましょう。 - ②緑化期(播種後4~10日)
出芽後の苗に光を当てて光合成を始めさせる期間です。急な強い光や、極端な温度変化によって、葉が白くなる(白化現象)ことがあるので最初の2~3日間は被覆資材を用い弱光条件で管理しましょう。
昼間は寒冷紗で被覆し、高温になる場合は換気等で調整しましょう。また、夜間は資材で保温し、15℃以下にならないようにしましょう。
かん水は、過湿にならないよう土の表面が乾いてから行うようにします。 - ③硬化期(播種後10日~田植え)
苗を徐々に外の環境に慣らすため、日中は外気や日光に十分当てましょう。気温が高い場合は、被覆資材を剥がし、早めの換気操作を行います。
10℃以下になるような寒い日は、資材で被覆し保温しましょう。
かん水は、ある程度乾いていることを確認してから朝方にたっぷり行います。常に過湿状態で管理すると、根の発育が悪くなります。
播種1か月後くらいまでには田植えを行えるよう、計画的に作業を進めましょう。
※種子消毒、箱施薬で薬剤を使うときは、ラベルや袋に表示された使用基準を必ず守って使用しましょう。本紙記載の農薬登録内容は令和8年1月21日時点のものです。
【注釈】
掲載している農薬の使い方(農薬使用基準)は、農林水産省が公開している記事掲載時点での農薬登録情報等と基に作成しました。
農薬使用の際は、下記に注意してください。
- 登録内容に変更がないか、必ず最新情報を確認する。
- 使用の際は、ラベルの注意事項を必ず確認し、適切に使用する。
- 農薬使用基準は、農薬取締法に基づき、作物ごとに該当する農薬の使用方法、使用時期、回数などについて使用者が守るべき基準です。
また、同一成分を含有する農薬を併用する場合は、成分の総使用回数に従う。

