春夏作野菜の栽培管理について

春夏作野菜の栽培管理について

草木の芽も動きだし、春ももうそこまでとなりました。
そこで今月は、春夏作野菜の作付けにあたり、留意したいポイント等を紹介します。

1 作付計画を立てよう

野菜の作付計画の中で特に重要なポイントは連作障害を回避することです。
サツマイモやカボチャのように連作可能な野菜もありますが、中には、3~4年、長いものでは7年程度、休栽期間をおかないと連作障害が現れるといわれる野菜もあります。
【表1】を参考に、畑の使い方、輪作体系について事前に計画を立てましょう。】
輪作の悪い例としては、「キャベツ→ダイコン→カブ」といったように、アブラナ科の野菜を続けて作付けしたり、「ジャガイモ→ナス→トマト」のようにナス科の野菜を連続して作付けすることです。】
「トウモロコシ→ダイコン→ナス」や「キュウリ→ネギ→インゲン」のように、科の異なる野菜を輪作して、連作障害を回避することが大切です。

【表1】いろいろな作物の休栽必要年数
休栽期間 7年以上 エンドウ・ナス・スイカ
5~6年 ゴボウ・トマト・トウガラシ・ハクサイ
3~4年 ダイズ・ナガイモ
1~2年 ジャガイモ・ホウレンソウ・ネギ・キュウリ

(農文協「土づくり講座」等より引用・改編)

2 土づくり

(1)堆肥の施用

堆肥には、土壌微生物のエサとなる腐植を補給する大切な働きがあります。
作物を作るたびに腐植は失われていきますので、一作ごとに堆肥は1m²当たり1キロ程度、施用してください。
微生物の働きが活発になると、土壌の団粒構造が発達し、保水性、通気性に富んだ土壌が形成されていきます。
ただし十分発酵していない有機物を土壌に還元すると、窒素飢餓を起こしたり、土壌病害虫の発生を招くおそれがありますので、完熟堆肥を手に入れるよう、努めてください。

(2)深耕

例えば、ホウレンソウの根は70cm以上も伸びると言われています。
排水性と酸素供給のために耕起することはとても重要です。最低でも30cmくらいまで耕すと良いでしょう。

(3)酸度矯正

一般に露地では、降雨によって塩類が流亡したり酸性雨のため酸性傾向になっています。
酸性土壌ではスギナ、クローバ、ヨモギ、スミレ、オオバコが占有する傾向にあります。このような雑草が多く、生育が悪い時は土壌酸度の矯正が必要です。
多くの野菜は弱酸性から中性で肥料吸収が良く、生育を確保できますので、作付前には苦土石灰などの石灰質肥料を1m²当たり100から200g施用し、土と良く混合してください。

3 果菜類のここが見所

(1)果形で見るキュウリの生育

定植する頃の苗(本葉3枚)では、すでに7節先までの花芽の雌雄が決まっています。
樹勢のバランスをとる目安として、第1雌花の着果節位を8節目とし、それより下についた雌花は取り除いてください。
また、キュウリは果実の形で生育の状態を情報発信してくれますので注意して観察してみましょう。
短形果は湿度が低い、肩張り尻細果は樹勢が強すぎ、曲がり果や、尻太果は肥切れの兆候、死果や流れ果の発生は、着果負担が大きいなど、果実の状態によって株の状態がわかります。

(2)花で見るなすの生育

ナスは水と肥料が多いほど生育が旺盛となり、収量もあがります。しかし樹勢が強すぎると、せっかく着いた花が実にならないこともありますので注意が必要です。
樹勢を見るポイントは2点あります。1つは、開花中の花の上にある葉の枚数です。3枚以下では樹勢が弱く、収量が減少しますので、追肥が必要です。4~5枚の葉を確保するよう管理してください。2つ目は花の状態です。ナスの花は下向きに咲きますので、雌しべの先が雄しべより長く突き出ていないと受粉できません。樹勢が弱くなると、この雌しべが短くなってきます。常に雌しべが雄しべより長くなっていることを確認して管理してあげることが大切です。

4 耕種的防除のすすめ

(1)コンパニオン・プランツの活用

コンパニオン・プランツとは、一緒に育てることで、お互いに良い影響を与え合う組み合わせの作物のことで、間作・混作等により生育を促進したり、病害虫を最小限にすることが可能です。ただし、逆に相性の悪い植物もあり注意が必要です。
カンピョウ(ウリ科)の産地ではつる割病対策としてネギの間作を昔から行っていました。また、トマトの株元にネギ類を植え土壌病害の対策をとったり、キャベツとレタスを間作してアオムシの被害を軽滅する事例等があります。
ただし、農薬を散布しなければならなくなった場合は、登録農薬の選定が両作物にあり、散布時期などが適正であることをラベルで確認して行いましょう。

(2)自然の天敵を活用

自然界では害虫と益虫が存在します。農薬を散布することで天敵も殺し、被害が多くなるケースが見られます。そこで、くもやテントウムシなどの天敵の生息環境を作るために敷わらやソルゴーなどでほ場を囲うなどの方策があります。農薬の選定にあたっては天敵に影響が少ないものを選定する必要があり、新たな耕種的防除方法として家庭菜園等でも活用してください。

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【注釈】

掲載している農薬の使い方(農薬使用基準)は、農林水産省が公開している記事掲載時点での農薬登録情報等と基に作成しました。
農薬使用の際は、下記に注意してください。

  • 登録内容に変更がないか、必ず最新情報を確認する。
  • 使用の際は、ラベルの注意事項を必ず確認し、適切に使用する。
  • 農薬使用基準は、農薬取締法に基づき、作物ごとに該当する農薬の使用方法、使用時期、回数などについて使用者が守るべき基準です。
    また、同一成分を含有する農薬を併用する場合は、成分の総使用回数に従う。